「GT-RV」のキャッチコピーが虚しかった三菱 ギャランスポーツ(1994年)

「やっぱり売れなかった“和製ゴルフカントリー”」迷プロデュースで生まれた1990年代の“なんちゃってRV”【推し車】
グリルガードやルーフレールがなければ売れたかというと…それらがないベーシックグレードは外観が地味すぎで、樹脂製フェンダーモールなど樹脂製パーツを多用したスマートな仕上がりにすれば、あるいは?と思わせるギャランスポーツGT。(画像=『MOBY』より 引用)

RVブームの中、リベロ(1992年)とオーストラリアから輸入したディアマンテワゴン(1993年)の中間、ちょうどレガシィやカルディナに対抗できるサイズのワゴンがラインナップになかった三菱。

そこで、先代ではギャランのカープラザ店向け姉妹車、「エテルナ」(4代目・1988年)として販売したものの、販売がパッとせず日本市場からは引き上げたギャランの5ドアハッチバックセダンをワゴンの代わりとして、1994年にギャランスポーツとして発売しました。

そのコンセプト自体は、スバルが初代インプレッサ5ドアハッチバックを「インプレッサスポーツワゴン」、後にマツダも9代目ファミリア5ドアハッチバックを「ファミリアS-ワゴン」として売ったので、見当外れとは言えません。

ギャランスポーツの場合、リアハッチが寝ていたのでハッチバックというより5ドアファストバックだったゆえ、「ギャランスポーツワゴン」と呼ぶには無理があったものの、プロデュース次第で人気車種に化ける可能性だってあったと思います。

しかし、イメージリーダーである「ギャランスポーツGT」はゴテゴテしたGTらしからぬバンパーガードにルーフレール、ならばいっそ背面スペアタイヤでも積んだなら?と言いたくなる中途半端で後付け感の強い装飾に、極めつけは「GT-RV」というキャッチコピー。

このコピーが強烈すぎて、当時から「ギャランGT-RV」だと車名を勘違いしている人がいたほどで、なにかどっちつかずな奇形という印象を強めてしまいました。

実車を見れば三菱らしいたくましさがあって、2リッターV6ツインターボの4WDで悪路から高速道路まで頼もしい走りを魅せてくれそうでしたが、売り方の間違いで全てはご破産、不人気車種の仲間入りです。

後継にあたるレグナム(1996年)は、ちゃんと8代目ギャランベースのマジメな迫力満点スポーツワゴンでしたから、そこまでのつなぎはこんなもんでよかった、ということかもしれませんが…。

あれもこれもそれも、結局どれも…スバル インプレッサグラベルEX(1995年)

「やっぱり売れなかった“和製ゴルフカントリー”」迷プロデュースで生まれた1990年代の“なんちゃってRV”【推し車】
フッツ~に「インプレッサ アウトバックスポーツ」を日本でも販売していればよかったのに、「あれもこれもと盛った結果、結局どれもダメ」という意味で、なんちゃってRV以前の大失敗作だったインプレッサ グラベルEX(画像=『MOBY』より 引用)

ある意味今回のテーマでもっとも不条理さを感じるのが、初代インプレッサスポーツワゴンに1995年追加された、「グラベルEX」。

今ではインプレッサベースの「クロストレック」、レヴォーグベースの「レヴォーグレイバック」、今は日本未発売のレガシィツーリングワゴンがベースの「アウトバック」と、この分野のクロスオーバーモデルはスバルが得意としています。

それも海外では今に始まった話じゃなく、「腰高なイメージから脱却したいのはわかるけど、レオーネみたいに最低地上高の高いオフロード向きな車種も作ってよ」という北米からの要請を受けたスバルは、早くからクロスオーバー車を手掛けていました。

2代目レガシィからアウトバック(1994年・日本ではレガシィグランドワゴンとして1995年発売)、初代インプレッサにもアウトバックスポーツ(1994年)としてラインナップし、それが現在の「クロスオーバーモデルも得意なスバル」の土台になっているわけですが。

初代インプレッサ・アウトバックスポーツを日本で売る際に、なえか巨大なグリルガードと背面スペアタイヤを装着…トヨタや日産、三菱と違い、スバルにはクロカン4WD車がほとんどなかった(※)ので、なんかそれっぽいのを1台…と思ったのかもしれません。

(※提携していたいすゞから「ビッグホーン」のOEM供給を受けたものの、車名すら変えないほど売る気がなかった)

でも、インプレッサの、ひいてはスバルディーラーに来るお客は「こんなクルマは求めてない」と冷淡だったのでしょう、全く鳴かず飛ばずの珍車扱いで終わっています。

アウトバックをほぼそのまま日本でも売った、レガシィグランドワゴンは高級感もあってランカスター、アウトバックと日本でも発展して今に至りますが、国内向けインプレッサのクロスオーバーは長い空白を経て、3代目ベースの初代XV(2010年)から再出発しました。

最初からレガシィのように、樹脂パーツでスマート&高級プレミア路線でキメた「インプレッサアウトバックスポーツ」を日本で売っていれば…。

現実はもはや時代遅れ、衝突安全性を考えれば危険と批判され始めた時期に大型グリルガードと背面スペアタイヤですから、三菱同様にプロデュースがヘタなばかりに珍車扱いとなる、不憫なクルマでした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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