ソフトバンクは23日、10月以降に提供されるY!mobile(ワイモバイル)の新料金プラン「シンプル2 S/M/L」を発表。現行の「シンプル」に替わるものだが、データ容量の増加とともに料金も引き上げられ「実質値上げ」との声も多い。その一方、1GBあたりの単価をみると、下がるプランもあり、プランによっては月のデータ通信量が1GB以下だと自動的に割引を受けられる点など、きめ細やかな部分もあり、評価は分かれている。今回の新料金プランは、どのようなユーザにとってはメリットがあるのか。また、楽天モバイルが6月から肝いりで始めた「Rakuten最強プラン」と比較し、どちらが魅力的といえるのか。専門家に解説してもらう。

 2021年の「官製値下げ」で大幅に料金を値下げした大手キャリア3社は、ここへきて値上げに動いている。すでにKDDIは6月に格安ブランド「UQモバイル」について値上げを実施。NTTドコモも「irumo(イルモ)」「eximo(エクシモ)」の提供開始に伴い、6月にエコノミーMVNO「OCN モバイル ONE」を終了させている。今回のソフトバンクの動きは、2社に追随するもの。

 ワイモバイルでは「シンプル」から「シンプル2」への移行に伴い、月間のデータ容量、料金(税込み/以下同)は以下のように引き上げられる。

・S
 3GB→4GB
 2178円→2365円

・M
 15GB→20GB
 3278円→4015円

・L
 25GB→30GB
 4158円→5115円

 これを1GB当たりの単価でみると、SとMは値下げとなる一方、Lは値上げとなる。絶対金額でみると事実上の値上げとなるが、「セット割」も用意されている。SoftBank AirかSoftBank光のどちらかをセットで契約すると、Sは1100円、MとLは月1650円の割引が適用(「おうち割 光セット(A)」)。ちなみに現行プランでの割引はS・M・Lすべて月1188円となっており、MとLは割引幅が大きくなる。

 また、「PayPayカード」か「PayPayカード ゴールド」のいずれかで料金を支払うと月187円の割引も適用される(「PayPayカード割」)。上記2つの割引を適用したケースで比較すると、

・S
 990円→1078円

・M
 2090→2178円

・L
 2970→3278円

と値上がりとなるが、1GBあたりの単価は3つともに下がる。

 新プランには柔軟性も持たせている。月間データ通信量が1GB以下になると、Mは月1100円、Lは月2200円の割引が適用。これにより、「おうち割 光セット(A)」と「PayPayカード割」の両方を利用するM・Lユーザは、月額利用料がSと同額となる。このほか、10分かけ放題の「だれとでも定額+」、上限なしのかけ放題の「スーパーだれとでも定額+」はともに値上げ(ただし無料オプションが拡充)、家族割引サービスの割引幅は縮小となっており、これらを利用する人はチェックが必要だ。

4GB以下に収まる人はおトク

 今回の新料金プランは、やはり「実質値上げ」といえるのか。ITジャーナリストの石川温氏はいう。

「基本料金が上がっているので、値上げなのは明らか。ただし、PayPayカード割は年会費無料のカードでも適用されるので、おうち割 光セットなども含めて『ソフトバンク経済圏』に片足を突っ込んでいる人なら、データ容量が増えて、おトクに使える感じ。経済圏の強い楽天の参入により、もはや通信料金単体ではなく『経済圏でトクするか』がキャリア選びの基準になってきている」

 今回の新料金プランは、どのような使い方のユーザ向けといえるのか。

「自分でキチンと毎月、どれくらいのデータ容量を使っているかを把握し、コントロールできる人向け。特に4GB以下に収まる人は、楽天モバイルに比べても安価になるので、かなりおトクではないか」(同)