なぜ新500円玉はあまり流通しないの?新500円玉への対応が遅い理由

新500円玉があまり流通していない原因として、自動販売機や券売機の刷新にかかるコストが大きいこと、世界的な半導体不足などが挙げられます。

自動販売機や券売機の刷新にかかる費用・コストが大きい

最大の理由は、やはり500円玉を使う機会が多い「自動販売機」「券売機」などでの導入が中々進まないことにあります。

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由
(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえば街中の自動販売機の中にはコインセレクター(硬貨選別機)が入っており、新しい硬貨を認識するにはコインセレクターを交換するか、自動販売機ごと刷新する必要があります。しかし自動販売機を機械ごと取り替えるのはコストが大きく、全国の自動販売機をすべて交換するには時間も費用もかかります。画像引用元(一部編集部にて画像加工):【左】日本コカ・コーラ公式ウェブサイト 【右】サントリー公式ウェブサイト

また「新500円玉への対応の優先度」というのも無視できない一面です。この記事をお読みの方の中にも、自動販売機でドリンクを購入する際は、Suicaなど交通系ICや電子マネー、またPayPayをはじめとするキャッシュレス決済を使用している人は多いのでは。

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由
(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえばコカ・コーラ ボトラーズジャパンの自動販売機では15種類以上のQRコード決済が利用可能となるサービス「QR de決済」を導入。PayPayやLINE Pay、d払い、au PAYなど主要なQRコード決済には一通り対応しています

QRコード決済やSuicaなど交通系ICに対応している自販機であれば、新500円玉への対応の優先度は相対的に低く「すぐにはコインセレクターや本体を取り換える必要はない」と企業側が判断するのも無理はないでしょう。

参考元:コカ・コーラ ボトラーズジャパン

世界的な半導体不足

自動販売機や券売機などの機器における新しい500円硬貨への対応には、半導体が必要です。しかし、現在世界的に半導体不足が起きており、それが機器の改修や交換を遅らせています。そのため新500円玉があまり使われず、流通しない原因になってしまっています。

【詳細】実はすごい!新500円玉に使われている様々な技術

冒頭でも軽く触れた、新500円玉のさまざまな技術をあらためてご紹介します。

「バイカラー・クラッド」

「バイカラー・クラッド」とは、2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む「クラッド技術」と、別の種類の金属でできたリングに円板をはめ込む「バイカラー技術」を組み合わせた技術のこと。

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由
(画像=『オトナライフ』より 引用)

この技術により、表面は金色と銀色に分かれる2色に。偽造防止だけでなく、視覚的にもわかりやすくする効果があります

(画像引用:財務省公式ホームページより)

「異形斜めギザ」

「異形斜めギザ」とは、側面に施されている斜めギザの一部(上下左右4か所)が他のギザと異なる形状になっている技術。

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由
(画像=『オトナライフ』より 引用)

これにより、触ったときにも新しい500円硬貨であることがわかりやすくなります。また、この技術は通常貨幣(大量生産型貨幣)への導入は世界初です

(画像引用:財務省公式ホームページより)

「微細文字」

「微細文字」とは、裏面に「JAPAN」「500YEN」の文字が縁に沿って微細に加工されている技術です。

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由
(画像=『オトナライフ』より 引用)

この文字は肉眼ではほとんど見えませんが、拡大鏡などで見るとはっきりと読めます。この技術は偽造防止だけでなく、国際的な認知度やブランドイメージの向上にも繋がっています

(画像引用:財務省公式ホームページより)