取引先から厳しい意見「高すぎない?」「パッケージは奇をてらいすぎ」

 2015年に「ザ★(R)チャーハン」を投入した際には、取引先から疑問の声を寄せられることが少なくなかったという。

「流通向けのプレゼンでは厳しい意見も多くいただきました。まずは分量です。当時、冷凍炒飯の主力商品は450gが主流でしたが、『ザ★(R)チャーハン』は600 g。『お客さんはそんなにたくさん食べるの?』という声が出て当然ですよね。価格にしても、通常の2倍ぐらいの高価格で出て行ったので『高すぎないか?』と言われ、黒いパッケージも『奇をてらいすぎて主婦は買いにくいのでは?』と、厳しいご意見をたくさんいただきました」

 品質には絶対の自信がある。その美味しさと、「ザ★(R)チャーハン」に込めた志を理解してもらえれば、小売店も必ず納得してくれると信じていたという。

「製品の実食を通じて品質を実感していただくことと、『既存商品とのパイの奪い合いではなく、冷凍炒飯市場そのものを大きくする』発想を強調しました。製造者だけでなく販売店にとっても、商品単価を上げるのはとても大事なことです。既存の冷凍食品には、安売りの際に大量に買い込まれる廉価販売の商品というイメージがありました。それを払拭する力のある、価格に価値が見合った商品が『ザ★(R)チャーハン』なんだと理解していただけたら、その後は早かったです。発売からの初動で、自信が確信に変わりました」

「ザ★(R)」シリーズは売れ行き好調のみならず、購入した人からファンレターが多数届いているという。「こどもが夏休みになると毎日の献立が大変になるが、『ザ★(R)』シリーズを取り入れて時間と手間の節約ができて助かっている」「こどもがガツガツ食べて笑顔を見せてくれるのでうれしくなる」といったファンからの声は非常に励みになるというが、それを後押しに、さらなる新展開はないのだろうか。

「社外秘ではありますが、『ザ★(R)』シリーズには開発までの一定の判断基準があります。その基準をクリアすることができれば、今後のシリーズ拡充もあり得ます」

 味の素グループのフィロソフィーともいえる「味の素グループWay」のなかに「新しい価値の創造」「社会への貢献」というフレーズがあるという。感動品質を新しいメニューに広げていくことは、まさに味の素グループWayに合致することといえるだろう。今後の新展開に期待したい。

(文=日野秀規/フリーライター)

提供元・Business Journal

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