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変則4ドアのメリットを強調する広告まで出した、スズキ ワゴンR
「全車5ドアの軽トールワゴン」という第2革命、ダイハツ ムーヴ

変則4ドアのメリットを強調する広告まで出した、スズキ ワゴンR

「ワゴンRならお子様が道路に飛び出さず安心」ってどうして?革命的ドアを備えた1990年代の軽トールワゴン【推し車】
(画像=1993年9月に同月デビューした初代ワゴンRと2代目ミニカトッポ(4ドア車)は揃って右側後席ドアがない変則4ドア車だった。,『MOBY』より 引用)

1993年9月に登場するや、スズキも予想していなかった大ヒットで軽自動車のみならず、日本車に大革命を起こした初代ワゴンRですが、同じ月にモデルチェンジした2代目ミニカトッポの4ドア車と同様、左2:右1の変則4ドア車でした。

それで売れたのだから、何の問題もないはず…と言いたいところですが、後述するフォロワーが5ドアを出してくると、「あれ?ワゴンには5ドアないの?右にしか降りられない時とか不便じゃない?」なんて声も聞こえてきたのでしょう。

当時の筆者は21歳くらいでしょうか…ある日新聞を見ると、かなり大きく「ワゴンRの右後席に閉じ込められて、降りられない子供が泣いている広告」があり、ビックリして二度見しました。

よく見ると「ワゴンRならお子様が道路に飛び出さず安心」という広告でしたが、パッと見では児童虐待かネガティブキャンペーンのようにしか見えず、スズキも妙な広告を出すな…と思ったものです。

それも結局はただの時間稼ぎ、あるいは広告があまりに不評で苦情でも殺到したのか、1996年4月にはちゃんと右後席ドアがある5ドア版「FXリミテッド」を追加したのですから、なおさら「あの広告はなんだったの?」と印象に残る結果に。

FXリミテッドは特別仕様車でしたが、4ヶ月後には「F」が頭につく5ドアグレード(FXやFT)、「R」が頭につく変則4ドアグレード(RAやRV)というラインナップで5ドア車が正式にカタロググレードとなります。

それならもう5ドアに統一したら?と思いきや、新規格版にモデルチェンジした2代目(1998年)でも頑固に変則4ドアのR系グレードをラインナップしており、2000年4月にようやく廃止、軽自動車最後の変則4ドア車となりました。

「全車5ドアの軽トールワゴン」という第2革命、ダイハツ ムーヴ

「ワゴンRならお子様が道路に飛び出さず安心」ってどうして?革命的ドアを備えた1990年代の軽トールワゴン【推し車】
(画像=サラっと当たり前のように右側後席ドアを設け、「普通は5ドアでしょ?」とすました顔で言いそうな初代ムーヴ ©Konstantinos Moraiti/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

ムーヴには「ワゴンRの後追いで結局勝てなかった万年2位」という印象が強く、筆者のようなダイハツ党には悔しいところですが、裏ムーヴこと「ムーブカスタム」の追加(1997年5月)で「標準車とカスタムの2本立て」という流れを作った重要車種でもあります。

そしてもう1つ、「最初から全車5ドア車で発売した、初の軽トールワゴン」という、ワゴンRの大革命をさらに拡大推進する第2革命を起こしたクルマでもありました。

基本的には4代目ミラのフロアや着座位置はそのまま、座面が低くハイルーフのメリットを活かせていない、というミニカトッポ同様の欠点を持っていた急造車種でしたが、5ドアの利便性は大いに評価されて販売面でもワゴンRにとっては脅威となります。

それで慌てたスズキが、前述した「変則4ドアのメリット強調広告」を出したのかな…と想像していますが、ホンダもトゥデイをベースに5ドアトールワゴン化したライフ(2代目)を1997年4月に発売。

その頃にはワゴンRにも5ドア車が出ていましたし、構造上どうにもならなかったのか、「軽トールワゴンの元祖」ミニカトッポだけが5ドア化できないまま一人負けの形になりました。

ドアを1枚でも減らして少しでも安くて軽くするより、ユーザーは多少値段が上がって重くとも便利な方を選ぶ…とわかったはずですが、ダイハツは後に2代目タントで左側のみ後席スライドドアを採用してしまい、両側に採用したスズキやホンダに遅れを取ります。

「先行する側はコストや重量に気を使い、後追いする側はユーザーの不満をすくい上げるか」という構図は、なかなか変わらないのかもしれませんね。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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