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もう5ドアでいいじゃない!とは簡単に言いにくかった昔の話
左右非対称3ドアに始まり、左2:右1の変則4ドアもあった三菱 ミニカトッポ
もう5ドアでいいじゃない!とは簡単に言いにくかった昔の話
今やすっかり軽自動車も5ドアが当たり前、しかも後席両側スライドドアを装備しつつ、樹脂パーツの多用などで車重増加を最低限に抑える設計は、「職人芸」の域に達していると言ってもよいでしょう。
さすが軽自動車!日本の誇り!と言いたくなりますが、技術が追いつかない昔はドア1枚をめぐって1枚少なくしたり、増やして対抗したりという微妙なレベルでの競争もあったものです(ケチって少なくしたわけではなく、あくまで技術やコストの限界!)。
ハイルーフ軽乗用車が流行り始めた初期、1990年代の軽トールワゴンを見ているとなかなか面白いので、ちょっと振り返ってみましょう。
左右非対称3ドアに始まり、左2:右1の変則4ドアもあった三菱 ミニカトッポ
初代ワゴンRが革命的大ヒットになったおかげで忘れられがちですが、近代軽乗用車で初めての軽トールワゴンは、1990年に初代が発売されたミニカトッポです(※)。
(※1970年代のホンダ ライフステップバンは、今のN-VAN同様あくまで軽商用ボンネットバン)
ただし安直に3ドアとしたわけではなく、右(運転席側)は大きく開かないよう短く、左(助手席側)は後席へのアクセスが容易なように開口部が大きく長いドアを採用しており、発想としては後のトヨタ ポルテや、タクシー専用車の日産 クルーなどと同様。
まだハッチバック車は3ドアが主流の時代に開発されたことや、ミニカをベースとしてハイルーフ化したので、重量増加や重心上昇、開口部拡大に伴う剛性悪化、それを避けるためのさらなる重量増を嫌って、いろいろ考え抜いた末の設計だと今ならわかります。
ただ、RVブームで多用途車が好まれる中、後席へのアクセスが不便すぎるのは考えものだったのでしょう、1993年にモデルチェンジした2代目では、従来通りの左右非対称3ドアのほか、左側に前後ドアを持つ左2:右1の変則4ドア車も用意されました。
しかしそうなると不便なだけで大した意味のない3ドア車は不人気だったようで、わずか1年ほどで乗用登録(5ナンバー車)は変則4ドアに統一、3ドアは商用登録(4ナンバー車)だけとなり、新規格で1998年発売の後継車「トッポBJ」は全車5ドアになっています。