それでも一般社会から見て「無謀」といわれる賭けに出たということは彼なりの一流の戦略が誰にも分らない形で存在しているとみるべきで「戦略なき戦闘」という表層の捉え方では判断を間違えると考えています。
ゼレンスキー氏が恐れるのは仮に東部ウクライナを奪回したとしてもそれで終わることはない点であり、氏はそれを今までに何度も口にしています。それだけゼレンスキー氏はプーチン氏の分析をしているわけで彼がどんな人物で何をしでかすのか、十分把握しているとも言えます。
仮にこの秋、ウクライナ軍が更に押し、ロシアが国境あたりまで後退するようなことになればプーチン氏は別手段を考えると思います。作戦は無限に存在するわけで例えばドニエプル川にかかる主要な橋を全部破壊し、ウクライナ軍の地上部隊の行く手を阻むことも大いにあり得るでしょう。
現状、和平には遠い、という気がします。その間、西側諸国のウクライナ支援にも疲れが出ていることは明白です。今般、オランダ、ノルウェー、デンマークがF16戦闘機を供与すると決めたようですが、操縦の仕方を含め、実戦に使えるのは来年の春以降の話でしょう。ドイツは引き続き、消極的支援に留めています。ウクライナの国家疲弊度は大きく、経済は落ち込み、人口が急減し、出産数も激減です。侵攻前の同国の人口は4380万人、世銀の2030年の予想は3500万人以下となっています。個人的にはそれをはるかに下回る公算が高いとみており、国家維持が厳しい中で終戦は全く見えない状況に未来はあるのでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月25日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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