2.視野が狭くなる

ホワイト企業で働くと、あまりに快適な環境のため「いかにこの待遇を維持するか」が最適解になる。実際、会社にぶら下がっているような印象を受ける社員はかなり多かったと思う。

そうなると、目線は社内で自分の地位を確保することに主眼が置かれ、就業時間外に自助努力でスキルアップをしたり、労働市場のトレンドや先端の技術を学ぶことより上司に嫌われない処世術とか、飲み会での振る舞いを重要視するようになる人もいる。

確かに強い人事権を持つ上司に好かれることは非常に重要である。だが、そのことを重視しすぎて個のビジネスマンとしての力を磨くことを忘れてしまうと、生殺与奪を上司や会社に委ねてしまうことになるだろう。変化の早い時代、人生の運命を会社や上司に預けてしまうのではなく、何が起きても素早く環境変化に対応してサバイブできる実力をつけることが重要だと思う。

居心地が良すぎる環境に身を置くと、視野が狭くなってしまいがちではないだろうか。

3.挑戦しなくなる

最後は挑戦しなくなるというデメリットである。

ホワイト企業で正社員になれば、社会的に大きな問題を起こさない限りは早々クビになることはない。だから果敢にリスクを取って難しいプロジェクトに挑戦して成功裏に導くとか、誰よりも努力をして昇進を目指すということをしなくてもとりあえず安定的に給与が振り込まれ続けることになる。

ホワイト企業におけるリスクリワードはあまり良くないので、筆者のように起業して平和に暮らせる動物園を飛び出して、野生のサバンナへ自ら旅立つ人など圧倒的な少数派になる。

だが、特に人生の前半戦で挑戦することは極めて重要になる。若ければ体力も吸収力も感受性も豊富なので、同じ挑戦をするならその分有利になる局面も多い(その逆に年齢を重ねる方が有利なこともあるが)。若いうちにたくさん失敗しておかなければ、中高年からの挑戦で勇気を振り絞ることはドンドン難しくなる。

自分は起業でも勉強でも、年齢が原因でできなくなることなどほとんどないと思っているが、若い時に挑戦しない人は年を取るとさらに保守的になってしまうだろう。そうなると人生の可能性は少しずつ閉じられてしまう。

今回、悪い話ばかりをしているようで恐縮だが、ホワイト企業で働くメリットは悪いこと以上に遥かに数多く存在する。だが今更自分が取り上げても目新しいことは言えない。なので今回はあまり語られない側面を取り上げた次第だ。ひたすらホワイト企業の悪い面だけをみて、敵視している訳ではないことをご理解頂きたい。

 

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