ジャクソンホールで何が議論されるかわかりませんが、中国リスクについては一定の議論がなされるような気がします。世界第二の大国が独特な国家運営のもと、経済だけを見ればどこから崩れてもおかしくない状態にあり、一つ崩れれば全部崩れるという連鎖反応を示しやすい環境にあります。仮にそれが起きた場合、西側諸国への影響がどれぐらいになるのか、あるいはそれを防御する手段は何かを高いレベルから検討する必要はあるでしょう。

中国で起きている不動産問題は不動産を購入して引き渡されない個人、取引先、融資した銀行、融資平台の実質的管理者である地方自治体への直接的影響が懸念されます。一方、中国の信託制度は個人が余資を運用する手段のひとつであり、その残高は422兆円規模とされます。これは高配当をうたっていたために金に目がない中国人の富裕層がこぞって資金を預託しているわけですが、一部の信託会社が配当を止めたとされます。これらが示すのは住宅の第一次取得者層から富裕層まですべての民間人に直撃する話であり、経済の崩壊は彼らの財が傷がつくことを意味し、中国経済の落ち込み度は深刻となり、対中貿易が大きいドイツなどは激震になると見られています。(つまり日本も同様です。)

よってジャクソンホールでは市場関係者の目先の興味本位の話は無くてもよいので世界経済をどう安定化させるかという高い命題についてしっかり議論し、各国の金融当局の連携を深め、有事の対処を行えるようにすることが望まれるところでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月23日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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