ソルトのルアーフィッシングでは、PEラインを用いることが多い。PEラインは撚り糸で太さに対して非常に高い強度を持つ。たとえば0.3号というライトゲームの標準的な細さでも3kg近い張力に耐えるので、扱い方を誤ると道具が破損したり怪我をしかねない。ここでは、釣具の中でもハリと同等かそれ以上に怖いPEラインのリスクについて解説する。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)

実は本当に怖い【PEラインの強度】「とても強い」が大事故につながる可能性も

本当は恐ろしいPEラインの強度

PEラインは撚り糸である。1本ずつは細いポリエチレン素材の糸を何本か寄って作っている。そのため、ナイロンやフロロやエステルラインのモノフィラメント(単一素材)のイトと比べると、非常に高い強度を持つ。参考までにメバル用の一般号数である0.3号ならば2.5kg程度、シーバスやタチウオ用の0.8号ならば6kg程度の強さがある。

見た目の細さ(ないし太さ)からは想像もつかない強さがあるので、舐めていると、本当に怖ろしい目に遭うことがある。手に巻きつくと鬱血して痺れる。号数や巻きつき方によっては皮膚や肉を切ることもある。

こうした不慮の事故を招く原因にもなり、PEラインはそもそも締め具がないと締め込んではいけないとまで言える。私はライトラインメインなので、ノットなど、手のコントロール内にあるときにはそのままでやるが、太いPEラインを使う船釣りでは締め具は必須だろう。

足場に放置されたPEライン

私も何度か経験していることだが、怖いのは足元に放置されたPEラインのゴミだ。岩場や消波ブロック上など不安定な足元はもちろんのこと、平たい堤防上でもPEラインが足にかかるとただでは済まない。転倒する。靴が脱げることもあるだろう。最悪、海への転落も考えられる。

実は本当に怖い【PEラインの強度】「とても強い」が大事故につながる可能性もほとんど鎖と同等に怖い足元のPEライン(提供:TSURINEWSライター井上海生)

自分でも戒めとしたいが、釣り場にPEラインは絶対に放置してはいけない。処置不能という場合でも、焼き切るか、なるべく回収しきれる分は持って帰りたい。

ロッド破損の原因にも

細いゆえに飛びやすく、魚の引きには頼もしいPEライン。しかし、その強さが仇となり諸刃の剣同等に怖いシーンもある。実釣中のアクシデントとしてもっとも多いのがライントラブルだが、PEラインでこれをやってしまうと最悪の事態を招きかねない。

ロッドに巻きついてしまったときが何よりも恐ろしい。何よりもバックラッシュがティップで起きてしまった場合だ。大体バックラッシュやモモリはラインが5重くらいに重なってしまうもので、ものすごく単純に計算すると強度3kgのラインが5重に重なると15kgになる。たとえばロッドを煽って根がかりを解こうとすると、アジングロッドやメバリングロッドなど華奢な竿先は間違いなく折れる。

実は本当に怖い【PEラインの強度】「とても強い」が大事故につながる可能性も細イトでも充分な脅威(提供:TSURINEWSライター井上海生)

PEラインの高切れ損失は、少なくとも竿先を折って修理する料金よりは安い。素直にラインカッターで切るか、ライターで焼き切ってしまった方がいい。釣り場でどうにもならないレベルのティップへの重度のPEライン巻き込みは、自宅で落ち着いて処理しよう。