黒坂岳央です。
「この人はきっと将来成功するだろうな。成功は時間の問題だろうな」と可能性を感じる人がいる。会社員、起業家、学習者など立場は違えど伸びる人は共通点があると思っている。
本稿は特に科学的エビデンスはない(そもそもポテンシャルを統計データ化できない)のだが、あくまで個人的見解で取り上げていく。

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会社員時代、同僚にポテンシャルを感じた人物がいた。名前をY氏という。
彼とは自分が転職した会社で出会ったのだが、Y氏は自分と同い年、同じ役職、同じ部署で働いていた。この人物はとにかく寡黙で、普段ペラペラおしゃべりなどをせず、静かに淡々と仕事をこなしていた。そのせいか、新しいプロジェクトや難しい課題がやってくると他の社員が何かと理由を付けて敬遠する中、気がつけば彼が一人でその業務をこなすということが続いた。
自分は最初の頃、その様子を見て「物静かで断われないから割を食って損をしている」と思っていた。確かに他の社員は彼にお願いしていることが何度かあったのは事実である。だが同時に周囲から「Yさんなら任せてもなんとかしてくれる。大丈夫だから」と信頼が絶大だったことも間違いない。
彼はどんなに難しく見える仕事でも、責任感を持って絶対に逃げずに納期に間に合わせていた。ある時、筆者は彼と話をする機会があったので聞いてみると「就業時間中だと知識不足の穴埋めが間に合わないから、土日に勉強したり調べてなんとかしている」といっていた。見えないところで大きな努力をしていたのだ。
彼は就業中はほとんど口を開かないが、とにかく振られた仕事は100%期日までに仕上げて出す。これを続けていたので、数年後に彼は大きく昇進した。マネージャーとしてではなく、スペシャリストとしてのキャリアアップである。見る人はしっかり見ているのだ。
自分はY氏とはあまり言葉を交わさなかったが、周囲が難しい仕事を押し付け和気あいあいとおしゃべりしながら気楽に仕事をする中、黙って一人で仕事を出し続ける後ろ姿から多くを学ばせてもらった。難しい仕事から逃げずに乗り越えていくタイプは、成長し、そして成功するポテンシャルがあると感じる。
2.素直な人そしてもう1つは素直な人である。
「素直さ」という意味合いはよく誤解される。相手に口答えせず、表面上はいはい元気よく返事をするだけの従順な態度を素直だと勘違いする人が多いが、真の素直さとは指示を思考停止して盲従する態度ではない。
正確には物事を偏見や思い込みなく、ありのまま受け取る力のことである。ある程度年齢を重ねた人で徹頭徹尾、これができるのは10人に1人もいない。ほとんどの人ができないことができる能力を「才能」と呼ぶわけだが、素直さは一種の才能であり、この能力の持ち主は伸びると思っている。
自分の実力を超える挑戦をすると失敗はつきものである。素直な人は失敗した時、むやみに才能や能力を疑ったり周囲のせいにしたりはしない。そうではなく、「失敗の原因は何だったのだろうか?」とフラットな目線で問題・課題をありのまま分析し、対策可能/不可能な要素に分類した上で、対策可能な側面に対してコストとリターンを照らしあわせて必要に応じて冷静に再挑戦をするという態度を取る。
「いや、それは素直というより冷静という方が正しいのでは?」と反論がありそうだが、素直さの条件に感情的にならず冷静であることがあるためそう見えてしまうのだ。その逆に素直でない人は「自分はこれまで失敗ばかり。今回も自分の能力不足が原因だ」と過去の事例を強固な思い込みで本来は関係のない現状に当てはめて決断しまう。また、他人のアドバイスや情報収集をする上でも必要、正確な情報ではなく、自分の心の声が求める情報だけを偏重的に収集し、バイアスのかかった目線で分析をするので分析結果もバイアスのかかったズレたものになってしまう。そして結果はでない。
素直な人は客観的、かつ冷静で結果を出すためなら余計なプライドを捨ててコミットする。たとえ現時点で何度失敗しても必ず引っかかりを抜け出し成長、成功していくのだ。