インテリアでは12.3インチのパノラミックディスプレイや充電時車内でリラックできるように、フロントシートがリクライニングする「リラクゼーションフロントシート」を装備。リヤシートにもリクライニング機能を持たせ、もちろんフラットなフロアなのでゆったりとした足元の広さが確保されている。そしてラゲッジは466Lあり、バッテリーの搭載で犠牲になるようなことはない。

車両価格は不明だが、IONIQ5より100万円は安くなる予定だという。現在IONIQ5は479万円から販売されており、競争力のある価格帯になる可能性があるのだ。

【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い
(画像=量販EV車にも当たり前のようにARナビが装備されている、『AUTO PROVE』より引用)
【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い
(画像=左ウインカーで後方画像表示。105km走って残り72%、電費は5.7km/kWh、『AUTO PROVE』より引用)

ここでヒョンデのEVへの取り組みを見てみよう。まず急速充電器をテスラのように自前で開発している点に注目だ。E-Pitと呼ぶ急速充電器は50kWから350kWまで対応し800Vの電圧で充電する。車両の仕様にもよるが約18分で充電完了する。

【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い
(画像=E-Pit。急速充電は18分で完了するが、15分以内を目指しているという、『AUTO PROVE』より引用)

さらに充電プラグの形式は、韓国はCCS1タイプで、車両に差し込むだけで車両認識と支払いができてしまうのだ。また充電完了から15分以内に動かさないと再びペナルティだか手数料だかの料金が発生する仕組みにもなっており、充電完了車の放置課題はないわけだ。

そしてHyundaiオーナーには専用の料金プランが用意され、CCS1を使う他社モデルとは差別化されている。さらに重たい充電ケーブルは吊り下げ式になっているので、それほど力を使わずともプラグに差し込めるようになっている。また普及型の400V充電器では、天井にケーブルを配し360度回転するので、充電口がどこにあっても容易に充電ケーブルを差し込める利便性がある。

【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い
(画像=充電ケーブルが360度回転するので駐車方向を気にせず停められる、『AUTO PROVE』より引用)

このようにカーメーカーが独自の急速充電装置を開発しているのはテスラとヒョンデだけで、EV化への本気度が伝わってくる。国内では2023年6月にレクサスがオーナー向けサービスとして急速充電施設を始めたばかりで、インフラ整備を待ち、ディーラーに設置するだけの国内メーカーとは攻めのスタンスが違うようにも感じられる。またネット販売だけという売り方も新しく、製造・販売のビジネスモデルからモビリティサービスへの転換の受け止め方、対応の仕方が違っていることがよくわかる。

【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い
(画像=ヒョンデモビリティジャパンの社長、趙源祥(チョ・ウォンサン)氏。欧州、中国に駐在しジャパンの社長になった、『AUTO PROVE』より引用)

ついでに、EV車の価値とは?がよく問われているが、ひとつには基本性能の競争領域としてモーター出力と電池搭載量があり、電池にはコスト、電費、耐久性=残存価値が求められている。そしてプラス価値として自動運転とコネクテッドによるサービスの提供がある。

KONA electricはOTA対応を基本としていることや上記のように充電に関する技術も投入されている。もちろん、量販を狙っているモデルなので、安価な設定しているため電池容量は少ないものの、EV車としての価値は高いのではないだろうか。韓国製品に対する嫌韓感情を持つ人もいると思うが、技術をフラットな目線で見ていくと、日本はかなり遅れをとっている印象を持つ試乗だった。

提供・AUTO PROVE

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