際立った中島と小泉の好連係
5バックを敷いた理文の右センターバックと右ウイングバックの間に中島が立ち、両者を引きつける。これにより空く大外のレーンを小泉が突こうとする場面が度々見られ、この攻撃が理文の脅威に。当初[5-3-2]や[5-2-3]の布陣でのプレッシングを狙っていたアウェイチームは、[5-4-1]による撤退守備へ移行せざるを得なかった。
「中島翔哉選手は、味方と近い距離にいるほうがやりやすいタイプだと思っています。できるだけ近い距離感でプレーすることを心掛けました。そして、彼にどれだけいい状態でボールを渡せるかを意識しました」
試合後の会見に出席した小泉のコメントからも、中島への配慮が窺える。中島のトップ下、及び小泉の左サイドハーフ起用が機能したことは、スコルジャ監督にとって収穫と言えるだろう。
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理文の布陣変更にも動じず
後半途中から[4-1-2-3]に布陣を変えた理文に攻め込まれる場面があったものの、スコルジャ監督のもとで磨き上げた撤退守備で追撃のゴールを許さず。時折繰り出すカウンターや、敵陣での落ち着いたボール保持で試合をコントロールした。
後半アディショナルタイムには、敵陣ペナルティエリア右隅を突いたFWブライアン・リンセンのクロスに、MF関根貴大が反応。途中出場の両選手も役割を果たし、試合の決着をつけた。
スコルジャ監督は試合後の会見で、後半の自軍の戦いぶりについて説明。過密日程や高温多湿のピッチコンディションを、より念頭に置いたうえでのスローダウンであったことを明かしている。
「2点目を取った後の状況で、(試合を)スローダウンさせることは悪いアイデアではなかったと思います。今、シーズンのどの時期に自分たちがいるのかを選手たちは分かっています。夏のブレイク後である自分たちのフィジカル的な状況も選手たちが把握しながら、このような展開になったと考えています。後半に入るとき、私はボールを長く保持するよう選手たちに指示を出しました。ボールをキープしながら相手を引き出し、走らせることによってスペースを増やすとともに、(相手を)疲れさせることを目指しました。その中でもチャンスを作ることはできていたと思います。ただ、立ち上がりにかなり高い量の(強度の高い)ハイプレスをかけましたので、それによる疲労を感じている選手もいました。ハーフタイムで2人交代させた理由もそこにあります」
豊富な手駒を最大限に活用できる手腕と、自軍の状況を的確に把握したうえでの戦略立案は、現在レアル・マドリードを率いているカルロ・アンチェロッティ監督を彷彿とさせる。今年5月に浦和をアジアの頂点に導いたポーランド人指揮官が、同クラブをさらなる高みへと導こうとしている。