■ハエの脳に侵入して行動を制御
研究チームが脳組織を詳しく検査したところ、E.muscaeは主に概日リズムや神経分泌系の管理を担うハエの脳の特定領域を標的にし、特定のホルモンの放出を誘導していることが示された。これらのニューロンを阻害したところ、ハエはサミッティングしなくなったということだ。
「私たちはこの真菌が実際にこのホルモンの放出へ導くためにこれらのニューロンの活動を促進しており、それがハエの運動活動の急増を引き起こしていると考えています」(エルヤ氏)
さらにE.muscaeの感染により血液脳関門の透過性が高まり、ハエの血流中の物質が脳に影響を与えやすくなっていることも判明した。
「これは真菌が行動の変化を引き起こす方法にとって重要である可能性があると考えています」(エルヤ氏)

研究者らは、サミッティングするハエとコントロールグループのハエの間で、特定の血液化合物のレベルに違いがあることを発見した。サミッティングするハエの血液をコントロールグループのハエに輸血すると劇的に活発になったことから、血液中の物質がサミッティングに寄与していることが示された。
「ハエの血液を移すだけでこのサミッティングを再現できる少なくとも部分的な効能があることが示されました」(エルヤ氏)
E.muscaeに感染したハエの死の間際に見せる一連の不気味な行動の一端が解き明かされたのだが、どのような化学物質が関与しているのか、完全なサミッティングを引き起こすには真菌細胞が物理的に脳に到達する必要があるかどうかなどの要因を判断するには、さらなる研究が必要である。
「ここにはまだ未解決の疑問がたくさんあります。この菌が何をしているのかはまだ謎です」とエルヤ氏は語る。
そして気になるのは人間がこのE.muscaeに感染した場合、ハエと同じくゾンビ化してホラーで悲惨な最期を辿ることになるのかということだが、この真菌が人間に害を及ぼすことはないということでまずは一安心だ。
参考:「Science Alert」「Harvard University」「eLife」
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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