その一方で、現在のアルゼンチンは4人にひとりが貧困者で、55%の未成年者が貧困にある。にもかかわらず、政治家は私腹を肥やして来た。この不平等を有権者が表明したこともミレイ氏への支持票となって今回高い支持率に繋がったのである。
だから、ミレイ氏は人口で2番目と3番目のコルドバ州とサンタ・フェ州でトップの支持率を確保し、長年正義党の地盤であるトゥクマン、サルタ、ラ・リオハ、サン・フアンの4つの州でも勝利した。24州の内16州でミレイ氏がトップの支持率を得ている。なおブエノスアイレス州は正義党が、またブエノスアイレス市はマクリ元大統領の「一緒になって変革」がそれぞれトップとなった。
特に、正義党への信頼が完全に崩れたのは、マクリ元大統領が招いた経済危機とIMFからの巨額の負債を抱えたことへの解決を期待して正義党のアルベルト・フェルナンデス氏を大統領に選んだのであるが、経済は一向に回復に向かうことなかった。むしろインフレは昨年だと100%近くになり、今年はそれを上回る予測がされている。
そのためフェルナンデス大統領は、党内での支持も失い、出馬しないことにした。そして彼に代わって経済相に最近就任したマサ氏を次期大統領候補として推しているが、高騰インフレは留まることがなく、米ドルもペソの前に高騰を続けるばかりで、有権者からの支持を失いつつある。
決戦投票にもつれる可能性が高い10月の大統領選挙で大統領になるには45%の得票率或いは40%でも2位との差が10%ある必要がある。これ満たされない場合は1位と2位とで決戦投票が行われることになっている。今回の予備選挙の結果だと、長年アルゼンチンの政権を担って来た正義党の候補者が決戦投票に臨めない可能性もある。
またミレイ氏はマクリ元大統領と接触があり、後者の「一緒になって変革」の代表となったパトリシア・ブルリッチ氏と連携する可能性も否定できない。そうすることによって正義党を政権の座から降ろすことができる。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?