極右議員が大統領になるかもしれない
10月22日に予定されているアルゼンチンの大統領選挙を前にその予備選挙PASO(Primarias Abiertas, Simultáneas y Obligatorias)が今月13日に行われた。
その結果はなんと米国のトランプ前大統領やブラジルのボルソナロ前大統領を彷彿させる、極右「先進ある自由(Libertat Avanza)」のハビエル・ミレイ氏が支持票30%でトップに飛躍した。

ハビエル・ミレイ氏 Wikipediaより
2位はマクリ元大統領の流れを汲む「一緒になって変革(Juntos por el Cambio)」が28%、そして3位は現政権の正義党の流れを基盤とした「祖国の為の連合(Unión por la Patria)」が27%という結果となった。2位についたグループの代表となったのはマクリ政権で閣僚を経験したパトリシア・ブルリッチ氏。3位の代表は現政権の財務経済相セルヒオ・マサ氏だ。
ミレイ氏がトップになるとは誰も予測しなかった。その主因はアルゼンチンの政権を長年維持して来た正義党による経済は後退を続け高騰インフレは収まることがない。また変革を訴えて大統領に成った他政党のマクリ氏の政権は貧困層の増大とIMFからの巨額の負債を抱えることになった。それに多くの国民は不満を表明して新しい政党への期待が高まったのが今回の予備選挙の反応である。
米ドルを国の通貨をして採用し、中央銀行は閉鎖?極右とされているミレイ氏は経済学者で2021年から下院議員である。討論や記者会見で相手を罵る発言で過激なところもある。
彼の政策で注目されるのがペソを廃止して米ドルを国の通貨として採用するというものだ。現在のアルゼンチン通貨ペソは国民からの信頼がなく、実際の市場経済は米ドルに影響されている。それを通貨として採用して慢性的な高騰インフレを収縮させようとするもの。
また、そのための準備として中央銀行の閉鎖を計画している。また2020年に法制化された妊婦の中絶の容認を廃止させる、武器の所有の自由化などといったものが公約として挙げられている。
正義党のキルチネール主義の議員は泥棒ミレイ氏は政治家のこれまで汚職に満ちた政治を無くすとしており、長年アルゼンチンの政権を担って来た正義党、特にキルチネール氏とその夫人クリスチーナ・フェルナンデス氏の両元大統領のキルチネール主義の議員は泥棒であり、全く役に立たない政治家集団であると辛辣な批判を浴びせている。
クリスチーナ・フェルナンデス氏は現在副大統領に収まっているが、彼女が大統領だった時に犯した汚職を有罪として禁固刑の判決を下せる証拠は十分に挙がっている。にも拘らず、彼女は政治家として不逮捕特権を利用して法廷に出廷することを避けている。それを正義党の議員が暗黙に支持している。