総務省のいうプラチナバンドは「毛針」

以上は2017年の規制改革推進会議で発表し、総務省も認めた。彼らはすでにSFNで全国の中継局の89%は県内同一チャンネルになっていることを認め、「では空いた周波数は携帯端末で使えますね」と私が質問したら「技術的には使える」と答えた。

技術的には使えるので、必要なのは免許の再割り当てオークションだけである。この話は菅首相にも届き、総務省にも検討を指示したようだが、彼の辞任で白紙に戻ってしまった。

2021年の電波シンポジウムには三木谷CEOを招いたのだが、断られた。そのとき総務省が「他のキャリアの使っているプラチナバンドを楽天に割譲する」という案を出したからだが、それは他社が絶対のめない「毛針」だった。

今回のプラチナバンド3MHzは、総務省の無理難題にドコモが苦労して編み出した帯域だが、その隣に200MHzあいていることをドコモも総務省も知っている。それがあけられないのは、民放連と新聞協会という日本最強の圧力団体が、その存在を報道すらしないからだ。

電波オークションで逆転できる

三木谷氏もホワイトスペースの存在は知っているはずだが、総務省が毛針をちらつかせるので、オークションに反対している。これは大きな間違いである。

200MHzというのは既存3キャリアの合計を上回る大きな帯域なので、多くのスロットが取れる。たとえば100MHzを4スロットにわけてオークションにかければ、楽天は確実に25MHzの帯域を落札できるだろう。コストは2000億円程度で、KDDIに払っているローミング料金の1年分より安い。

その分コストが上がって料金が高くなるというのも、総務省の嘘である。OECDの中で電波オークションをやったことがないのは日本だけだが、それ以外でオークションをやった国の電話料金は、「美人投票」で割り当てた国より安い。新規参入で競争が起こるからだ。

三木谷氏は単なるEコマース業者ではなく、既得権に挑戦するというミッションをもっているらしいから、これほど彼にふさわしいチャレンジはない。楽天の経営だけでなく日本経済の活性化のためにも、ホワイトスペースの開放を要求してはどうだろうか。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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