中小企業だって手持ち現金は必要
日経の「守りの中小、膨らむ現預金 資産の2割強に大企業比3倍、成長投資に回りにくく」という記事は違和感ありでした。中小企業の総資産に対する手持ち現金比率が大手に比べて増えているということを指摘しているのですが、企業の資産規模と手持ち現金の比率をそのまま比べてもほとんど無意味なのは企業経営者ならすぐに気がつきます。そして銀行は前例のある事業にしか金を貸さず、新規事業はリスクが大きいと融資をなかなかしません。
以前、お伝えしたようにカナダではラーメン屋一軒開けるのに億近い資金が必要なこともあります。が、カナダの銀行ですら貸さないのです。飲食はリスクが大きいと。ちなみに会計事務所も飲食店の新規のお客さんは前払いという話すらあります。事業に対しての融資がもらえなければ自己資金や知り合いに頼んで勝負するしかないのです。だから貯める、そして投資をするわけです。私も自社の年間売り上げと同じぐらいの新規投資を続けてきていますが全部自己資金です。銀行がすり寄ってきても「いりません」と断るのは彼らは大企業で上から目線、我々は零細で押し込まれるギャップ感が嫌なのです。
くだんの日経の記事は中小企業の総資産に対する現金比率が21%と報じています。総資産10億円で2億円です。業種と経営姿勢にもよりますが、私のように不動産事業を手持ち資金で廻すには論外に足りません。基本総資産に対して100-200%ぐらいあってポンと買って建物完成まで我慢して現金回収が始まったらまた買う、の繰り返しをパイの生地のように積み重ねるとそのうち総資産に対する現金比率が100%が70%になり、50%に下がってくるというのが企業の成長というものです。零細や中小企業がどこまで成長したいか次第ですが、既存資産の陳腐化もあるわけで手元現金は厚めでいつでも出動可能にしたいところです。
後記 夏休み時期は私は昔から繁忙期なのですが、今年は過去5週間の週末のうち4週間でイベントに参加していて、今日、金曜日から最後の大物、バンクーバー最大のアニメコンベンションでの即売会に3日間出ます。これを書き終えたらすぐに参戦、私の頭の中が「Love Live」状態になります。さて、私は雄たけびを上げることができるか、頑張ってまいりまーす!
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月19日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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