しかし、マルクスの予言に反し、先進資本主義国では労働者階級の生活水準が向上したため、社会主義革命は起こっていない。このため、日本共産党のみならず、フランス共産党やイタリア共産党などの西欧共産党はいずれも著しく党勢が退潮している。これは構造的問題である。

単独では政権をとれぬ日本共産党の最大の弱点

このような理由により、日本・西欧の先進資本主義国では構造的に社会主義革命が極めて困難である。その上に、日本共産党は外交安全保障政策として、現在も「自衛隊違憲解消」「日米安保廃棄」(党綱領四参照)の基本政策を堅持している。

このような基本政策はロシアによるウクライナ侵略や中国の覇権主義・台湾有事・尖閣有事の危険性を考えれば、立憲民主党を含む他の野党のみならず、多数の日本国民が不安に感じるのは当然と言えよう。なぜなら、自衛隊や日米安保を否定すれば、日本の核を含む抑止力自体が成り立たないからである。

したがって、日本共産党としては、構造的に社会主義革命が極めて困難である以上は、「共産主義イデオロギー(マルクス・レーニン主義)」を放棄し、漸進的な改革を進める「社会民主主義政党」に脱皮する以外に道はない。そして、「自衛隊違憲解消」「日米安保廃棄」の基本政策を放棄しなければ、立憲民主党をはじめ他の野党との統一戦線戦略としての「共闘」は不可能である。

日本共産党の党勢を考えれば、共産党単独での政権獲得は不可能であり、統一戦線戦略としての他の野党との「共闘」が不可欠である。これは同党の最大の弱点である。

したがって、日本共産党が政権を獲得するためには、共産主義イデオロギーであるマルクス・レーニン主義の放棄と自衛隊違憲解消、日米安保廃棄の基本政策の放棄により、漸進的な社会民主主義政党に脱皮し、立憲民主党をはじめ他の野党との「共闘」による「連立政権」への参加以外にはあり得ない。かつて、イタリア共産党は社会民主主義政党に脱皮し、イタリア中道左派連合「オリーブの木」と連携し1996年の総選挙に勝利して政権に参加した歴史がある。

 

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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