ハイステータスほど飲酒機会が多い理由

ここからはギャラップ社の調査結果を借り、筆者の個人的見解を交えてハイステータスほど飲酒の機会が多い理由を取り上げたい。

まずは人的交流機会が考えられる。昨今はフルリモートワークやフリーランサーを除けば、コロナによるロックダウンがない今は仕事終わりに酒を交えたコミュニケーション機会がある。

more likely to interact socially with those of similar status (同じようなハイステータス地位の人と社交的に交流する傾向が強い)

このようにギャラップ社の調査に記述がある通り、近しいステータス同士の交流でお酒の消費が伴うということである。特にITや金融、デザインやマーケティングなどクリエイティビティ度合いが高い人同士がお酒の力を借りて円滑なコミュニケーションをすることで、異なる分野のお互いのアイデアやスキルの相乗効果が期待できる。

彼らは潜在的にそれを理解し、お酒をコミュニケーションを促進するツールに活用していると考えることができないだろうか。

また、うまいお酒ほど値段が高い。ワインなどは1本数百円から、数万、数十万、時には数百万円になることもある。人との交流でお酒を交える時、ある程度の品質のお酒を消費することはコストを求められる。結果、所得水準が一定以上でなければ、このような消費行動に耐えられないという仮説が立てられる。

ただし、全員ではない

しかし、ハイステータスになればなるほど飲酒機会が増えるといっても、あくまで全体論的な傾向でしかない。個別に見れば、そうでないケースも確実に存在する。

自分自身で考えると、会社員の頃より所得やビジネススキル、取引先の人的水準も高まったが、お酒はほぼ全く飲まない。飲めないのではなく、意識して飲まないという方が正しい。

その理由はお酒のアルコール害を理解したことと、生活ルーティンが乱れてしまうこと、さらにお酒の力を借りないシラフの状態でコミュニケーションを取る方が楽しいと感じるからだ。最後の話をより深掘りするなら、お酒の力を借りて泥酔すれば確かに普段は絶対言えないような話がお互い飛び出してくる。実際にこれをやってその場が盛り上がった経験は何度かある。しかし、話したことや行動したことははっきり覚えているので、翌日になると「あの発言で相手は一瞬顔色がこわばった、失言だったかな」など酒の勢いを反省することもあり、これを続けるのは良くないと感じた。

さらにコミュニケーションは酒の力など借りなくても、相手が喜ぶ話題や求められていることを読み取って対応すれば、盛り上がる会話は意識的に作ることができる。以上のように結論づけたことで、以降自分はアルコールはほぼ飲んでいない。他にも同じような考えをする人はいるのではないだろうか。また、筆者のよく知る経営者は大の酒好きだったが、筋トレにハマってアルコールをやめたといっていた。こういう身体的な効果を考慮して酒をやめる人もいるようである。

「ローステータスほどお酒をよく飲み、アルコールに溺れる」という印象があったが、それはあくまで一部のケースであり意外とハイステータスほどアルコールを好むという話である。

 

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