黒坂岳央です。
アメリカの世論調査企業ギャラップ社の調査によると、高所得・高学歴の成人アメリカ人は10人に8人が酒を飲むと答えているのに対し、低所得や高卒以下のアメリカ人は約半数しか飲まないと回答した。この違いは何が理由なのだろうか?
2016年WHOの世界のアルコール消費量データによると、国民一人当たりの年間アルコール消費量で日本は7.4リットル、アメリカは8.67リットルと大きな違いはない。
日米は国民性や文化の違いはあるものの、概ね似た結論を導き出せる可能性はある(日本人を対象にした信頼のおけるデータが発見できなかった)。元データは米国人を対象にした調査だが、我々日本人に照らして考察したい。
注:本稿では所得やステータスといったキーワードを便宜上用いて解説しているが、差別的な意図は一切ないのでそこを踏まえて読み進めていただきたい。

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これはデータの力を借りるまでなく、我々の一般的な印象そのままの結果となるが、喫煙率は所得や学歴、経歴が上がるほど低くなる点も興味深い。日米、事情はまったく同じである。
それを裏打ちする具体例として、アメリカのタバコにおけるシェアの約30%を占めるメンソールは、アフリカ系アメリカ人や低所得者層の喫煙率が非常に高いことで知られている。このことに対し「人種間の健康格差になりえる」と米国FDAがコメントを出している。
「たまたまタバコの味がこの層の好みに合致した」というわけではなく、彼らをターゲットに積極的にマーケティングをした展開された結果であり、過去にはこのタバコの銘柄で訴訟も起きている。つまりメーカーも「誰がタバコを吸うか?」をよく理解してビジネスをしているということだ。
結論的にアルコールとタバコの好みの傾向は逆になるということである。なかなか考えせられる。