専門家「この彫刻は本物でなければならない」
ちなみに像はいくつかに切断された状態で保管されており、公開に際して慎重に断片を接着して組み立てられた。
組み立てを終えて展示室で公開した次のステップはそれを理解することであった。ディニアコプロス家自身もこの像の起源や歴史について不確かだったため、エプスタイン氏はこの彫刻が特定されることを期待して世界中の研究者に連絡を取った。その中には大英博物館、ケンブリッジ大学、イスラエル博物館などの専門家も含まれていたが、残念ながらサッカラの飢餓像が何であるかを確信を持って答えられる者は誰もいなかった。
サッカラの飢餓像はエジプト先王朝時代に遡ると考えられているのだが、エプスタイン氏はこの彫刻は墓か埋葬地から出てきた可能性があり、古代エジプトの支配者によって征服された人々を表現したものであるとの考えを述べた。
彫刻された人物のやせ細った身体的特徴によってヌビア人である可能性が示唆されたが、一方でユダヤ人がエジプトから追放された頃に作られたのではないかとの指摘もある。またこの彫刻は現代に作られた偽物ではないかと考える者もいる。
サッカラの飢餓像の信ぴょう性は、専門家が同様の像を知らない事実により疑問視されている。
それにもかかわらずこの彫刻は本物であるとする声も根強く、 たとえばコンコルディア大学の専門家はこの彫刻はフランスからの輸出が法的に許可された記録が残されていることを指摘している。この時代は今よりも骨董品の取引が活発に行われていたことを考慮すると、この彫刻は本物であると彼らは主張している。
またスイスの美術史家ジャン・ジャック・フィヒター氏は、経験豊富なコレクターであるヴィンセント・ディニアコプロスがこれを購入し、高額な費用をかけてモントリオールまで輸送しているからにはこの彫刻は本物でなければならないと言及している。
もちろん専門家でも間違いを犯すことがあると主張する声もあるかもしれないが、いずれにせよこの彫刻は今も謎のままであり、コンコルディア大学によって調査と研究は続けられている。
サッカラの飢餓像が時間軸と歴史状況を逸脱した“オーパーツ”であったり、地球外文明に由来する可能性もありそうだが、いずれの推論も今のところは保留せざるを得ない。サッカラの飢餓像の謎を解く糸口が今後見つかるのかどうか、気長に事の推移を見守るしかなさそうだ。
参考:「Anomalien.com」「Ancient Origins」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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