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重いラダーフレーム構造には、作りやすいというメリットが
初代シルビアも産んだ、ダットサン フェアレディ(1959年)
重いラダーフレーム構造には、作りやすいというメリットが
スポーツカーといえば、パワフルなエンジン、空力に優れたデザイン、可能な限り軽量化されたボディといったあたりが相場ですが、まだ国産車の開発・生産技術が未熟で、生産数も少なかった1960年代には、あえて重たい構造に甘んじるスポーツカーもありました。
トラックなど商用車と基本的な構造は同じラダーフレームを使い、スポーツカーボディを架装するので重量はかさむもののボディで力を受け止めないため、オープンカーなど開口部の大きいデザインを作りやすく、重たい分はパワフルなエンジンを積めばよいという発想。S500に始まるホンダのSシリーズもその代表格ですが、今回はほかにもう2台、あえて商用車と同じラダーフレームを採用した国産60’sオープンスポーツを紹介しましょう。
初代シルビアも産んだ、ダットサン フェアレディ(1959年)
厳密には、1959年から翌年にかけ少数販売された初代S211型が「ダットサン・スポーツ」、1960年に輸出用として左ハンドル車のみ作られた改良型S212/213型が「ダットサン・フェアレデー」で、「フェアレディ」を名乗ったのは1962年の2代目SP310から。
そもそも日産では戦前から小型車ブランド「ダットサン」でフェートン(オープンカー)を販売しており、その流れで戦後も1952年には「ダットサン・スポーツDC-3」を発売、国産車でいち早く市販スポーツカーの復興に携わってきました。
カタチだけ整えたDC-3に対し、S211以降はツインキャブ装着などでパワーアップ志向があり、「Zのつかないフェアレディ」としては最後となるSR311(2リッターOHVツインキャブ145馬力)まで、その流れは続きます。
特徴的なのは、同時期のダットサントラックやブルーバードのラダーフレームの補強・流用でオープンスポーツボディを載せ、サスペンションなどは決してスポーツカー向きではなかったものの、重たい構造をパワフルなエンジンで補った事。
改良で出力が上がるほど快適性や操縦性に難のあるジャジャ馬でしたが、それを補って余りあるパワーで最終型のSR311「フェアレディ2000」など公称最高速は205km/hに達し、ゼロヨン記録に至っては1980年代までそれを上回る国産車がいなかったほどです。
また、別ボディへの変更が容易な構造でしたから、SP311「フェアレディ1600」の時代には、クリスプカットと呼ばれる継ぎ目のない美しいデザインのクローズドボディを載せた姉妹車、初代「シルビア」(SXP311型)も存在しました。