オーバーヘッドコンソールは操作系スイッチが集約されており、例えば、左右のサンシェードやルーフサンシェード、イルミネーション、後席の空調などのスイッチがある。また手元で操作するための脱着可能なスマホ型コントローラーも装備され、オーディオやエアコン、室内灯、シート、サンシェードの開閉ができる。シートは言わずもがな、電動リクライニングにオットマンが装備され、快適なくつろぎ空間が広がっているのだ。


ショーファーカーとしてのアルファードは、その高級感、乗り心地、静粛性など申し分なく、また顔のデザインも主張が強くVIPカーとしての存在感が主張されているのだ。
この快適な移動空間を作るためにプラットフォームはMC型からGA-K型に変更した。GA-K型は大型のFFモデル用のプラットフォームでレクサスRXやカムリ、クラウンなどが採用しているものだ。このGA-Kにリヤ床下にV字型ブレース補強を入れ、ボディを環状骨格構造にし、構造用接着剤も剛性を上げるタイプと減衰特性を持つタイプとを併用し、ボディ全体の剛性アップと振動吸収を両立しているのだ。これは前型が5m使用だったのに対し10倍の50mも採用している違いがある。


またダンパーにも周波数感応型を採用。これは日立アステモ製の製品を、アルファード・ヴェルファイア用のデータに変更して搭載している。主に後席への不快な高周波(微振動)を減衰し乗り心地を良くしている。そして旋回時の低周波入力時には高減衰でしっかり踏ん張るようにセットしたダンパーになっている。
そして気になるヴェルファイアの専用エンジン搭載グレードZ Premierにも試乗した。これはガソリン・ターボ車なので、フィーリング的には慣れ親しんだもので、すぐに馴染むことができる。エンジンは279ps、430Nmとパワフル。ハイブリッドは190ps、236Nmなので、その違いは明確だ。



またステアリングのEPS制御も異なり、手応えはしっかりしたフィールに仕上げている。アルファードは全体に軽い操作系に仕上げているが、操舵フィールの違いでもヴェルファイアはドライバーを意識した仕上げだと感じる。またボディ構造でもヴェルファイアのZ Premier専用の構造部材も使っており、それはラジエターフレームとサイドフレームを繋ぐブレースバーを搭載し、フロント周りの剛性感の違いも作っているのだ。


もちろん、フロントフェイスもアルファードとは別のデザインとしており、ヴェルファイアの個性が際立つデザインに仕上げている。
新型アルファードはショーファーカーとして、VIPカーとしてエクステリアを含め存在感が強く、高級ミニバンであることが主張され、ヴェルファイアはドライバーも運転が楽しいと感じられる仕様に仕上げているというのが、新型アルファード・ヴェルファイアということになる。どちらが好みかは使い方で自ずと決まりそうだが、運転好きなユーザーでもアルファードの豪華さは捨てがたいと思う。ぜひ比較試乗してみてほしい。
アルファード諸元

アルファード価格

ヴェルファイア諸元

ヴェルファイア価格

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