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こんにちは、医師&医療経済ジャーナリストの森田です。
さる8月9日、第49回厚生科学審議会予防接種/ワクチン分科会が開催されました。
この会議を全編見たのですが、以前の会議とは空気が全く違っていましたのでご報告します。
とにかく以前のワクチン分科会は、
メンバー全員がとにかく同じ意見で ワクチン推進 副反応はあっても軽微(それは置いといて) シナリオ通りに進行して最後はシャンシャンで終わりという出来レースというか、茶番劇というか、見ていて非常に辛いものだったのですが…。
今回の会議は、その茶番感がかなり薄まっていて、ワクチンに対してきちんとメリットもデメリットも考えよう、という空気に近づいているように感じました。
【8月9日のワクチン分科会】
特に、50分あたりで出てくる鈴木基氏が、
献血データでは既に16歳以上の小児の自然感染による抗体保有率は6割。それ以下の子供のはもっと高い確率で抗体を持っているこの状況で、小児へのワクチン接種の優先度は低いのでは?
と言わてていたのは非常に重要だと思います。
というのも、鈴木基氏は、国立感染症研究所感染症疫学センター長で、これまでワクチン推進の立場を一貫してとってきた人だからです。
なお、国立感染症研究所は、超過死亡の統計を出すところなのですが、その超過死亡の解釈も、鈴木氏の解釈はかなり恣意的でした。
戦後最大・激烈な超過死亡がワクチン接種後に観察されている中、5月前半という短期間の結果を、
5類移行後に見えていない流行や死亡数の急激な増加は起きていないとみられる
と発言したのです。
超過死亡、5月前半観測されず コロナ5類移行後で初公表
この発表はNHKニュースでも大きくも取り上げられ話題になりました(もちろんSNSでは批判的意見が圧倒的多数でしたが)。
このような鈴木氏が、ワクチン推進に「待った」をかけるような発言をするということ事態が、分科会の空気の変化を感じさせるものです。
また、会議の39分あたりで、佐藤好美氏(産経新聞)がこう言われています。
資料では、小児の中等症・重症例のうち大半(8割)がワクチン未接種とのことでワクチン接種が大事(重症化予防になっている)ということになっているが、そもそも小児のワクチン接種率は非常に低い。この情報だけではなんとも言えないのでは?
そもそも小児のワクチン接種率が2割(未接種が8割)くらいなのだから、中等症・重症のうち8割が未接種でした、って普通に当たり前なんじゃない?それで重症化予防になってるの?
という至極当たり前の質問。
【参考】小児のコロナワクチン接種率(首相官邸)
驚いたのはその答えです。
会議の1時間9分あたりで、 この資料を提出した森岡一朗氏が、
そのようなデータは私のところでは未確認
という、酷く無責任な回答。