日本共産党の「生産手段社会化」で経済停滞?

上記のとおり、党綱領で、日本共産党は、「生産手段社会化」によって、搾取がなくなり、利潤追求がなくなり、計画経済が可能となり、生産力が飛躍的に発展すると主張している。

確かに、「生産手段社会化」は、いわゆる資本家を絶滅し、資本家に代わって国家が経済を運営する体制であるから、資本家による労働者の搾取すなわち剰余価値の取得はなくなるであろう。しかし、国家による剰余価値の取得はなくならない。これを否定すれば拡大再生産ができず、経済の発展はないからである。

また、「生産手段社会化」により資本家がいなくなれば利潤追求もなくなり、計画経済が可能となるであろう。しかし、利潤追求がなくなり、計画経済になれば生産力が飛躍的に発展するとの共産党の主張は極めて疑問である。

なぜなら、利潤追求がなくなると競争原理が働かないため、技術革新が遅れ、計画経済は非効率性・低生産性に陥り、国家による経済運営が破綻する。この事実は、旧ソ連の計画経済の破綻や、鄧小平による市場経済導入以前の毛沢東時代の長期に及ぶ経済停滞が証明している。旧ソ連は「計画経済」が破綻し「利潤原理」を導入せざるを得なくなった。

したがって、競争原理が働かない「計画経済」が非効率や技術革新の遅れなどにより、経済の長期停滞をもたらせば、利潤追求による競争原理を認める資本主義的な「市場経済」を導入せざるを得なくなる。共産党が金科玉条のごとく主張する「生産手段社会化」には経済運営上の重大な矛盾と欠陥があることに注意すべきである。

以上に述べた通り、日本共産党が社会主義革命の目玉政策にしている「生産手段社会化」による「計画経済」は、生産力の飛躍的発展どころか、経済の長期停滞をもたらし、国民生活を破綻させる恐れがあるのである。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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