水を求めて数十キロ
母親たちが苦労してようやくたどりつく数少ない診療所。谷さんは、ケニアで診療所を訪れたときにも衝撃を受けました。設置されていた雨水タンクに鍵がかけられていたんだそうです。地域の住民がタンクの水を使うと医療に必要な水がなくなってしまうため、(鍵をかけて)管理していると聞きました。
(松岡さん)「水がある場所まで汲みにいかなくてはいけないのですが、その場所は(コミュニティの)数十キロ先にあって。お母さんたちは何十リットルも入るタンクを頭に乗せて、子どもを抱えながら、水を汲んでまた帰るということを毎日繰り返しているんですね。(医療の)教育を受ける時間もないし、子どもたちが学ぶ時間もない。家事もしなきゃいけないなかで、水汲みが生活に大きな負担を及ぼしているんです。日本のように水が入手できる環境は、本当に恵まれていると思いました」
母子の健康に悪影響を与えているのは、上記で述べた生活インフラの問題だけではありません。現地では、伝統的な価値観や社会的習慣、迷信により、病に対する正確な知識がつけられないほか、外出制限などで医療サービスが受けにくい環境にもなっているそうです。