日本の人事システムには転勤という仕組みがあり、そこで枠組みが変わるだろう、というご意見もあります。が、それはNOです。理由は転勤は人事部が決めることであり、自分で選んだわけではないのです。一部の企業には公募制といったユニークな仕組みを取り入れているところもありますが、それはごく少数。北米の人が4-5年で会社を辞めるのは自己の成長を会社を変わることで具現化しようとするからなのです。つまりとても能動的な成長欲求です。
私は多くの日本の若者の採用面接を日常的にこなしているので「Youはなぜ、カナダに?」と聞く機会もあります。多くの方は「ずっと胸に秘めていた夢を30歳のワーキングホリディの期限が来るまでにやってみたかった」と答えます。社会人を5-8年こなしてそこを退職し、一大決心してカナダに来るのです。更に概ね、その半数は「出来ればカナダに残ってチャレンジを続けたい」と夢は膨らみます。その夢をかなえられるチャンスは20-30%でしょうか?多くの方は必死に頑張り、移民権を取るまでの約5年程度を耐え忍びます。
では定年退職した後に成長はあるでしょうか?私は無限に考えつくと思います。それはごく簡単なことです。何か新たな第一歩を踏み出す、それだけなのです。やったことのないことをやる、行ったことのない店に入る、食べたことがないものを食べてみる、社会奉仕をする、シニアグループに所属してみる、自分の知見を活かせるアドバイザーのチャンスを見つける…。たとえば観光地で英語のガイド、あれは刺激いっぱいのでしょう。なぜなら外国人はガイドを質問攻めにするからで知らないことだらけで勉強不足を感じるからです。おまけに歩くから健康には良いのです。
私の周りのシニアの方に「集まりをしましょう」と声をかけてもほとんど反応がありません。「目が見えない」「足腰が痛い」「忙しいの!」…。シニアの方が本当に忙しくてしょうがないなら問題ないですが、病院に行くから忙しい、と言われたら私は至極残念です。
若い人の成長過程では失敗は多いに許されます。いや、むしろ失敗した方がいいのです。「俺は青かった!」と認識するとそれが人生の糧になるのです。一方、ある程度の年齢になると失敗は取り返しがつかなくなります。故により保守的になるのですが、仕事とプライベートを切り離せば、いくらでもチャレンジは出来るし、そこから思わぬチャンスが生まれることもあるのです。
私はいろいろな人に会います。そして耳を傾けます。それが刺激なのです。時折気になる人と出会うと嬉しくなります。私は「奥深い人」「引き出しが沢山ある人」「人生紆余曲折だった人」から聞く「人生の『しわ』話」ほど好きなものはありません。そういう点では化粧してしわ1つない人より粗削りでちょっとワイルドな方が個人的には好みですかね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月13日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?