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「007は二度死ぬ」にも登場したヤマハとの力作、トヨタ 2000GT(1967年・238万円)
「007は二度死ぬ」にも登場したヤマハとの力作、トヨタ 2000GT(1967年・238万円)
スパイ映画「007」シリーズ第5作「007は二度死ぬ」(邦題)で、日本人女性エージェントの愛車(※)として登場。
当初アストンマーチン車を使う予定が、オープンスポーツを準備できるなら国産車を採用となって突貫作業でフルオープン車を作り、国際的な銀幕デビューを果たしたトヨタ2000GTは、そのエピソードだけでもスーパーカーとしての資質があったと言えるでしょう。
(※そのため、厳密にはボンドカーではない)
1960年代半ばには国産車メーカートップシェアを誇り、日本を代表するスポーツカーを作ろうとしたトヨタと、独自の4輪車進出こそ断念したものの、それまでの研究成果を活かしたいヤマハがタッグを組んで開発・生産した2000GTは、1967年に238万円で発売。
5ナンバーサイズの2リッター直6スポーツでしたから、現在で言えばスープラどころかGR86より劣るように思えるものの、古いクルマというのは最新スペック比較より、当時の技術や文化を物差しに考えるものです。
そういう意味では、強固なX字フレームに4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架のサスペンション、ロングノーズ&ショートデッキで当時最新のスポーツクーペスタイルに、リトラクタブルヘッドライトと大型ヘッドランプを組み合わせたフロントマスクと高級内装。
ヤマハがM型をチューンした、トヨタ初の市販車用エンジンは150馬力を発揮し、谷田部の自動車高速試験場で挑んだスピード・トライアルでは当時の国際記録を多数樹立するなど、ただ高価で新しいだけでなく、「世界に挑んだ堂々たるスーパーカー」でした。
それだけに238万円と、コスモスポーツなど目じゃない高価なクルマとなり、現在の価格でいえば2020年消費者物価指数を基準としても約960万円、大卒初任給基準でも約2,480万円という、「大抵の庶民は一生かかっても買おうと思わない、スーパーカー価格」に。
ただ、2023年7月現在の現行モデルと比較すると、昨今の急激な円安で輸入車が軒並み値上がりしたこともあり、フェラーリやランボルギーニはおろか、ポルシェ911ターボでも、さらに日産 GT-R NISMOですら、2,480万円で買えるモデルはありません。
なんとなく近いのは、マセラティ グラントゥーリズモ モデナや、メルセデスAMG GT Rといった、高性能で高めのGTカーで、かつてのトヨタ 2000GTと立ち位置が近く、どのみち庶民が新車購入を考えるわけもない価格など、共通点の多さが興味深いところです。
1967年当時の日本人にとって、前述のコスモスポーツが「頑張ればいつかは手が届くかもしれないスーパーカー」なら、トヨタ 2000GTは、「永遠の憧れとして遠くから眺めるだけだった、雲の上のスーパーカー」だったのではないでしょうか?
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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