“陰謀輪”を前提にしてはならない
トロント大学の政治学者であるジェフ・ダンシー准教授は、ICERの多くの重要な点に同意しながらも、教育は常に「確立された歴史的および科学的命題」に基づいているべきだと「Daily Mail」に語っている。
「原則としてICERは科学的手法を支持しており、独断主義には抵抗しています。私はそれを支持します。問題は、本質的に観察可能で再現可能な証拠に基づいて主張を根付かせる科学的手法に彼らが実際には従っていないことです」(ダンシー氏)
ダンシー氏は基本的にICERの取り組みに賛同しているが、GCSEのカリキュラムに適用されるには歴史的および科学的命題に基づいている必要があることを指摘している。
「いかなる命題も100%の確実性で証明したり反証したりすることは決してできませんが、一部の命題や主張には、他の命題よりもはるかに多くの証拠による裏付けがあります。ICER がウェブサイトで提示した証拠は不十分です。それは私たちがアネクデータ(anecdata、不確かなデータ)と呼ぶものです」(ダンシー氏)

ダンシー氏はまた、政府が地球外生命体に関する詳細を隠している可能性があるとしながらも、これを巡る多くの陰謀論があることを強調した。
「“政府”が地球外生命体の詳細を隠しているという考えは興味深いし、可能性があります。そして陰謀論に関する限り、それは最も有害性の低いものの一つです。宇宙人に対する信仰自体は陰謀論ではありませんが、当局が宇宙人に関する情報を隠しているという考えは陰謀論です」(ダンシー氏)
しかしここには皮肉があり、UFOとエイリアンの観察可能な証拠がすべて隠されたままである場合、宇宙人が存在するという命題を裏付ける利用可能なデータは存在しないことになる。
「共謀者たちが地球外生命体に関する情報を大衆から隠すことに成功しているのであれば、ICERのような団体は、彼らが知っていることではなく、彼らが信じていることに基づいて提案を行っていることになります。結局のところこれは科学ではありません。なぜなら科学は信念を裏付けるものではなく、疑いを克服することに基づいているからです」(ダンシー氏)
“陰謀輪”に基づくことのないUFO学がメジャーな学問分野になる日が近いのだろうか。“その日”に向けて人々への啓蒙活動を続けるICERに今後も注目していきたい。
(※1) UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。
参考:「Daily Mail」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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