ホンダZR-V e:HEV・Z(4WD) 価格/411万9500円 試乗記

ホンダの新世代SUVは、個性明確なキャラクター
CR-Vは北米や中国など、海外で大ヒットしている。だが、日本での人気はいまひとつ。ヴェゼルという出来のよい弟分が頭角を現した影響か、はたまたサイズが大きくなりすぎたせいか、だんだんと存在感が薄れていった。
海外ではすでに販売されている最新CR-Vの扱いが今後、日本でどうなるかは不明。代わって日本でも販売がスタートしたのがZR-Vだ。ZR-VはCR-Vと同じように、シビックをベースとするものの、いくぶん小柄なクロスオーバーSUVである。


スタイリングは個性的。代を重ねるごとに当初とは別物のアクの強いデザインとなっているCR-Vはもちろん、第2世代のヴェゼルにも似ていない、ホンダSUVラインアップの中で独自のスタイリングが与えられている。個人的には当初つかみどころがない印象を受けたが、見慣れるとなかなか味わい深いと感じている。受注状況はまずまずのようだ。
テスト車は最上級のe:HEV・Zの4WD。本革シートをはじめ、ナビシステム、プレミアムオーディオなどを標準装備する。価格は同クラスの中でやや高めだが、装備を考えると納得。オプションはほとんど必要ないだろう。
乗降性はまずまず。車高も地上高もそれほど高くはない。乗り込むと、シビックとの共通性が高いインパネが、開放的なイメージを演出。奥にエアコン送風口を備えたハニカムのパネルが目を引く。視界は全方位にわたり良好。ピラー形状やドアミラーの位置関係などがよく考えられていて死角が少ない。
メーターはシンプルで見やすく必要な情報を的確に表示してくれる。ステアリングスイッチやエアコンの操作系なども直感的に扱え、使いやすい。ただし、インフォテインメント系はもう少し目新しさがほしい。


室内の空間設計はパーソナルなイメージ。ボディサイズの関係で生まれたスペースの余裕を贅沢に使っている印象だ。上半身は広々としているのに対し、下半身はややタイトぎみに仕上げている。ハーフブリッジ状のセンターコンソールやドアポケットは、機能的な作り。造形面でドライバーズカーであることを印象づける。
後席は、正直あまり居心地がよくない。シートはヒップポイントが低め。頭上には余裕があるが、ヒール段差は不十分で大腿部の収まりが悪い。前席下への足入れ性も物足りない。とはいえフロアがほぼフラットなのは美点。後席用空調の吹き出し口が用意されている。
荷室は側面の樹脂パネルにキズが目立ちにくよう模様がつけられている。容量はなかなか広い。クルマから離れると自動で閉扉する「予約クローズ機能」が付いたパワーテールゲートは、自動開閉動作を一時停止できる機能や、好みの開度に設定できる機能が重宝しそうだ。

