実はこういう現象が膨れに膨れ、契約に達していない大都市が18都市にも及ぶという。小都市は大事業をやらないから、県、市、町の借金は少ない。同時に財政が逼迫していることでもある。
この財政圧迫が他の事業を助けることを圧迫し、困難地域を助けることができない。
またこの県、市、町に分配される“土地分配主義”が地方財政を圧迫していることは間違いない。経済専門家の試算によると、2024年に訪れる債権の額は全国を合わせると、少なくとも1兆4000億人民元以上(27兆円規模)にも上るという。
政府は建築中のビル(或いは一棟室)の不良債権化の危険を孕みながら、片方では地方財政を増やすために開発屋にハッパをかける政策を始めようとしている。
この政策こそが地方財政を圧迫した原因なのに、全く同じ“国策”を取らざるを得ない。これが共産主義の性(さが)なのか。習近平氏の知恵の限界なのか。
中国の「一帯一路」も各地で破綻している。スリランカのハンバントタ港も、スリランカに返してやれとか、イタリアもシンガポールも中国と“縁切り”の構えが、世界の潮流だ。
■
屋山 太郎(ややま たろう) 1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年8月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?