カナダやオーストラリアなど働く人が不足している国では、熟練労働者でも就労許可を取ることができますが、やはりスキルのレベルや経験、教育など様々な制限があります。
イギリスの場合は審査が最も厳しい国の一つで、就労許可を取る人となると、英語の試験や最低年収、教育レベルの審査があります。
例えば管理系の仕事の場合。日本で例えると慶応大学や早稲田大学、旧帝国大学卒業で、会計業界や金融業界で最低10年程度の経験があって、年収は大手企業の部長レベルではないと許可が出ないぐらいの程度になっています。年収の「下限」は市場レートで決まっていて、例えばマーケティングだと年収は800万円ぐらいです。
それぐらい出す会社が雇用契約を結ばないと就労許可が出ません。
旅行業やサービス系だと400万円代もありますが、そうなると今度は現地の人を雇わない理由を会社が証明しなければならないので、雇用許可を出してもらうのは非常に難しくなります。業種により実に細かく年収の「下限」が決まっているのです。
この様に他の先進国の雇用許可取得は大変厳しく、現地で働いている日本人はこういう審査をくぐり抜けてきた人々です。当然学歴や語学の審査も厳しいのです。ですから、こういう事情を知らない日本人に大変厳しいことを言います。
大昔であれば不法滞在だった人でも雇用許可を取れるようなこともありましたが、現在はそんなゆるさはありません。
しかし日本の場合は、現在入国管理法の改正があったために、介護職や農業など非熟練労働者であっても日本の就労許可を取ることができるようになっています。
外国人実習生制度も、実習とは言いつつも、要するに低賃金の非熟練労働者を日本に入れるための仕組みです。賃金は他の先進国の水準より遥かに低いのです。
外国人介護人材受入れの仕組み
他の国に比べますと実に条件が緩くなっているのですが、これは日本の賃金が非常に低く、地元にある外国人コミュニティも小さい上に、日本語という非常に難しい言語のバリアがあるので、他の先進国に比べると外国人労働者を獲得するための競争力が低いからです。
ですから、条件を緩くするほかありません。
このような実情があることは仕方がないというわけなのですが、これまでの日本や、他の国で就労許可を取るのには非常に厳しい審査があり、費用も大変高いために、そのような条件をクリアしてきた 外国人の方々は、ある意味怒っているところもあります。
むしろ入国管理法の規制緩和に厳しい意見を持つのは、長年日本に住んでいる外国人の方です。
これまでは、日本語の習熟度も高くなければなかなか仕事がありませんでしたし、審査が厳しかったので、日本に入ってくる外国人はある程度スクリーニングされていました。
例えば1990年代に日本のある程度のレベルの大学に入ってきていた留学生の方と交流がある方はおわかりなのではないでしょうか。
当時の留学生は日本語のレベルがかなり高く、就職後も今よりは外国人に寛容ではなかったので、当時日本で学位を取得して就職していた外国人の方のレベルは非常に高かったのです。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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