そしてここにきて25年4月の開幕に対して23年末までの各国パビリオンの着工期限、24年7月の建物完成期限という枠組みに黄色信号とされます。私から見れば「絵に描いた餅のようなスケジュール」です。特にタイプAと称する参加国が自前で建築する50のパビリオンは極めて高いハードルと申し上げます。
私はカナダで工事を発注している側で現場にも足を運んで自分の目で見ています。一言で言えば「情けないほど酷い工事管理」でそれが世界では当たり前レベルです。最大のキーは採寸ミスなどでまともな材料が来ない、職人にそんなパビリオンを作れるほど器用な人材は少ない、日本側と言葉の問題ですり合わせが簡単ではない、といった問題が浮かびます。「工程は工程にあらず、夢のごとし」である点を踏まえると万博主催者は工事のバッファー(ゆとり)を6か月持たないと厳しいと思います。
日本の工事管理能力は異様に優れています。その違いは工種のオーバーラップが可能なのです。電気、配管、造作、ペンキ…といった作業が同じ場所でも同時並行で進められるのですが、欧米はそれが出来ません。作業員が嫌がるし、きれいに仕事が出来ず、ちまちました作業場でみんなでシェアするという発想はゼロです。それでも工事は日本側が支援するのでパッチワークでも24時間体制で仕上げるのでしょう。
問題はその中で何を見せるのか、万博の真価はそこに尽きます。頑張ったのは関係者だけ、にならなければよいと思います。
ビッグモーターを支えた大手企業の手のひら返しこの問題を一番初めに取り上げた時、「今回の事件はある意味、誰も傷ついていません」と書いたら批判が沢山ありました。が、傷は保険がカバーしたのであり、現時点で顧客による民事事件に発展していない点ではやはり特殊な事件なのです。
もちろん最終的には保険を買った顧客の保険料が必要以上に上がるというケースは存在しますが、今回のポイントはそうではなく、日本的な社会構造が生んだ特殊性こそ最大の問題であると思っています。
損保ジャパンが同社に出向者37名を出していた件は同社の保険業務をそっくり取り込む社を挙げての体制であります。つまり、ビッグモーターサマサマでずぶずぶだったのです。大手企業は自分の手を汚さない仕事の仕方が得意でそこにはガバナンスの意識は薄いのです。特に金融関係者は見栄えこそよさげだけど中身は「えぇー?」ということは日常茶飯事です。金融関係というだけで偉そうに見えるだけです。
さて、いよいよ同社に貸し付けがある3大メガバンクをはじめ一部地銀を交えた銀行団との交渉が8月半ばから始まります。旗振りは三井住友でしょうか。政府などの厳しい処分が出る前に銀行団は「貸付前提が変わったので600億円の借金を早く返せ!」と迫るのは間違いないでしょう。
兼重氏の個人保証が入っているか次第ですが、個人資産の切り崩しは不可欠と見ます。その間、保険業務ができない、中古車も売れない、車検も出来ない、従業員がやることがない、退職者も続く、となれば300店舗が空っぽになる前例のないパニックすらあり得ます。
結局、業界最大手と言えども上場企業に振り回されるちょっと大きくなった個人企業なのです。上場企業と非上場の力関係はそんなものです。
後記 いつも忙しいけれど今は手が回らないほど繁忙状態。儲かる話なら嬉しいけれど、そうではなく、トラブルシューティングばかり。そしてその解決が一筋縄ではいかず、それぞれの問題に手間暇がかかる間に新たな問題も噴出で私は暑い上に焦りの汗も噴出状態です。仕事のサイクルでこういう時はあるんですよね。
ストレス一杯の時は一日に1時間でも仕事から完全に切り離せる状態を作ります。携帯は持たず、スポーツしたり、トレイルに行く、あるいは読書にふける、中でもビール飲んでいる時が一番ほっとします。はい、飲みすぎには気をつけます!
では今日はこのぐらいで
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月5日の記事より転載させていただきました。
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