トランスミッションとは?

トランスミッションとは、日本語で“変速機”を意味し、エンジンの回転数を変換し、適切なトルクをタイヤに伝える働きをします。
トランスミッションの主な役割はエンジン回転数の増速と減速。重たい車を停止状態から加速させるためには、エンジンの回転数を減速し、トルクを増大させます。スピードが乗ってくると今度は徐々に減速の度合いを落とし、最終的にはエンジンの回転数以上に増速させて、タイヤを回転させるのです。
トランスミッションの身近な例には自転車の変速があります。自転車はきつい坂道ではギアを軽くして負担を減らし、スピードを出したいときには重たいギアで一気に加速します。
これと同じことを車のトランスミッションはやっているわけです。
変速比と減速比
トランスミッションには、変速比と減速比という言葉があります。変速比とはエンジンの回転数に対してトランスミッションが1回転する値です。
諸元表の変速比欄に記載されている1速3.678といった数字は“トランスミッションを1回転させるのに必要なエンジン回転数は、3.678回転です”という意味です。
この変速比の数字が大きくなるほどトルクは増大し、車を前に進める力が大きくなります。
一般には1速が一番大きな数字となり、トップギアは1を下回ることがほとんど。これはトップギアに入れると、エンジンの回転数以上にトランスミッションが回ることを意味し、トルクが小さくなる反面、エンジンが回る限り加速し続けます。
また、減速比はミッションの回転数に対するタイヤの回転数の比率で、最終減速比は車のトルク性能を大きく決める重要な指標であり、レ―スの現場ではコースに合わせて最終減速比を調整する事もあります。
トランスミッションの種類

トランスミッションの種類は主に3種類。
- MT
- AT
- CVT
どれも似たような言葉ですが、仕組みや構造は全く異なります。
トランスミッションの種類がわかれば車選びのコツやメンテナンスの重要性がより深く理解できるはずです。ざっくりとそれぞれの違いをチェックしていきましょう。
MT(マニュアルトランスミッション)
MTはマニュアルトランスミッションといい、クラッチペダルとシフトレバーを操作して、自分で変速するトランスミッションです。
スポーツカーや大型車には当たり前に採用されていたミッション形式で、シンプルかつ単純な機構となっています。
残念ながら現行で発売されている車のMT車の割合は約1%。運転の楽しみが広がるマニュアル車は、今や絶滅危惧種となってしまいました。
クラッチやシフトの操作は確かに面倒です。しかし一番車を“運転している”と感じるのはMTかもしれません。
AT(オートマチックトランスミッション)
ATとはオートマチックトランスミッションの略称です。ドライバーが変速をしなくても、車が勝手に最適なシフトポジションを選択してくれます。
ATはクラッチ操作やシフト操作が要らないばかりか、MT車にありがちな発進時のエンストも起こらないため、運転操作が非常に簡単です。
手軽に運転できる車ということで一気にシェアが広がりました。今では耐久性も向上し、トラックなどの大型車にもATは採用されています。
CVT
CVTとは、日本語では無段階変速機といい、ATと同じく自動でシフトチェンジを行います。
しかし、ATと違うのは内部に変速ギアが存在しないという点。変速ギアを使用せず、無段階で変速比を調整できるのがCVTの最大の特徴です。
ギアを入れ替えて変速するMTやATに比べて変速ショックが小さく、ミッションも小型・軽量に作成できるメリットがあります。