臨死体験はサイケデリック体験なのか?
インタビューの中で、マイケル氏はアレグザンダー氏に両方の経験について詳しく説明するよう求めた。アレクサンダー氏の回想によると、どちらも時間と空間を超越して多元宇宙を垣間見る感覚を呼び起こし、同時に周囲との一体感、そしてあらゆるものやすべての人に対する深い、ほとんど神聖なまでの愛がこみあげてきたという。
アレクサンダー氏の臨死体験とDMT体験の間の最も重要な類似点は、彼の自意識の崩壊である「自我の死」であり、「個人的な自己の感覚とそれに付随するすべての自伝的記憶の消滅は一時的ではあるが多くの場合、自分が“宇宙的存在”であるという経験を引き起こす」ことが浮き彫りとなった。マイケル氏はこれがサイケデリック体験によって誘発される神秘的な体験と、そこから引き出される潜在的な報酬の鍵であると指摘している。
アレグザンダー氏はまた、2つの出来事の多くの違いについても述べ、臨死体験中に恐ろしい存在と神聖な存在の両方に遭遇し、一時的に別の世界に行ったことさえあったと告白した。臨死体験のある時点で彼は「深淵な空虚でありながら、育む光に満ちている」状態にある場所を通過し、続いて女性的な実体が越えることを妨げる“関所”に遭遇したというのだ。
これらの相違点と、少なくとも彼にとっては臨死体験がサイケデリック体験をはるかに上回っていたという事実から、アレクサンダー氏はDMTが臨死体験を引き起こすという理論を信じておらず、臨死体験はある種の死後の世界を垣間見たという超越論的で“スピリチュアル”な理解に至っているという。

「(DMT体験は)小さなのぞき穴から覗いているようでした。広い海に浸かって全力で泳いだりする(臨死体験の)一体感を体験したりするのとは対照的です」とアレグザンダー氏はマイケル氏に語った。つまりアレクサンダー氏は臨死体験とDMT体験は異なるものであると感じたのである。
しかしマイケル氏はアレグザンダー氏の臨死体験におけるすべての際立った瞬間は、DMTのサイケデリック体験の大きな特徴であると指摘している。したがってアレグザンダー氏のエピソードは、臨死体験は脳内で生成されるサイケデリックな化合物によって引き起こされる可能性があるという、より広範な理論を決して否定するものではないものの、それを裏付けるものでもないということだ。
つまり臨死体験はスピリチュアル体験ではなく、死の間際に大量に分泌される脳内のDMTによるサイケデリック体験である可能性も残されていることになる。臨死体験が脳内化学物質に起因するものであるというのは身も蓋もないような話にも思えるが、その可能性がじゅうぶんにあることは今のところは否定できそうもないようだ。
参考:「Big Think」ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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