残念きわまりない、38人のパリ視察

すでにネットやテレビ他でも大きく報じられましたが、自民党女性局のフランス視察。一連の炎上は、解散間際かと仄聞される衆議院の解散総選挙にも少なからず影響を及ぼすかも知れません。

自民 松川るい氏 仏研修中エッフェル塔前で撮影写真投稿 陳謝

自民研修、エッフェル塔前で撮影

報じたのがPV狙いのスポーツ新聞や週刊文春ならいざしらず、NHKやロイターなど公共性の高い機関も報じていることは、決して軽いことではありません。だからと言って野党が口撃材料にするのも見当違いですが、せめてガチの会議や視察に関する画像が大半で、その中の「移動中のオフショット」ならまだ理解できたものを・・・。

私の場合、怒りよりも先にため息が漏れました。岸田総理も、さぞかし憂鬱な思いにかられたことでしょう。

今回は党の女性局が主催ということで一緒くたに見られる方々も気の毒ですが、それでも私は昨年の「ある一冊」がきっかけで自民党の女性、それも新人候補の方々には大いに期待を寄せています。

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起死回生の一冊となるか、『自民党の女性認識』

毎年暮れに尾崎行雄記念財団が選出している「咢堂(がくどう)ブックオブザイヤー」。最長不倒の衆議院議員・尾崎行雄の雅号を関する書籍の賞ですが、尾崎財団では昨年、安藤優子氏の『自民党の女性認識-「イエ中心主義」の政治指向』に選挙部門大賞を贈りました。

当時の選評は次のとおりです。

選挙部門の安藤優子氏『自民党の女性認識」は書名が示すとおり、自民党において選挙候補者がどのように擁立され、そして有権者への選択肢として提示されているのかを丹念に分析した、選挙の在り方を考えるうえでも有益な研究成果です。「女性代表が国会においてかくも少ないのか?」そして「なぜ、女性に対する認識が政治の世界で障害になっているのか」が丁寧に解き明かされています。中でも候補者のキャリアパスに関する考察は秀逸で、同党の支持如何に関わらず、すべての有権者が選挙の際に考えるべきテーマでもあります。

わが国における女性の政治参加不振は自民党に限った話ではなく、恐らく各党とも共通の課題です。書名こそ自民党をテーマとしていますが、その実はわが国における根深い課題であり、各党が「性別に関係なく、能力のある人材を登用する」ことに対してどれだけ本気かが問われます。