北米でも90年代ぐらいまではゴージャスなホテルというよりも、シティホテルの多くはコンベンション型ホテルで宿泊費が1-2万円程度で収まるか、ハイウェイのロードサイドホテル、いわゆるモーテルで駐車場代とセルフの朝食込みで8000円-1万円ぐらいが主流でした。ところが大手ホテルチェーンがブランドの細分化を進め、ラグジュアリー化を進めたり、マリオットのWホテルなど顧客ターゲットを絞り込んだホテルを次々と開発したのです。

日本の2000年代から2010年代はデフレ時代で「外資?」「広いスペース?」「高級ホテル?」で商機を逸していたともいえます。一方、ホテルビジネスは金がかかるもので3年に一度のマイナーリノベーションや7年に一度は大規模リノベーションが必要とされますが、日本のホテルはその改装費用が出せず、使い込んだ感に溢れ、カーペットも色あせたセピア色の大規模ホテルは確かにあったのです。

私に言わせればバブル崩壊後の少なくとも20年以上は業界自体が眠っていた、そしてその間にアパホテルのような日本のサラリーマン受けするホテルだけが続々と建設されてきたと考えています。

価格設定は日本は一人当たりでチャージしますが、北米は一部屋いくらですので二人で泊まる場合は日本は2倍の価格になることを考えれば東京のホテル価格も世界水準に近づいていると思います。今後も相当の外資系のホテルチェーンが日本を目指しているとされ、タイのセンタラ系も7月に大阪に開業しました。個人的にはある程度の潜在需要はあると思いますが、日本人物価の感覚と相当の差がありますし、日本企業で一泊5万円のホテルを出張費で出してくれるところは役員クラスと察します。

一般の方が許容できる宿泊価格の水準を上回るので外国のお金持ち様頼みということになるのでしょうか?ただ、個人的には外国人が個人旅行や出張でホテルを選択する場合、アパ、カンデオ、藤田観光、東横、東急、JR系のように外国での知名度が高くないブランドにはどうしても手が伸びない点で外資系というより国際ブランドとの棲み分けが進んでいるのではないかと想像しています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月2日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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