決勝
1周2.09kmの特設コースを36周で競う決勝は、ポールポジションのキャシディがホールショットを決め、チームメイトのブエミがチャンピオンシップリーダーのデニスをかわしてエンビジョン・ジャガーのワンツー体制で始まった。

序盤の5周目、ブエミが後続を抑える形になり、キャシディはアタックモードに入りながらも順位を落とすことなく、トップをキープし、チーム作戦が成功しているように見える。またエバンス、デニスも早めにアタックモードに入り順位が動くものの、いつもの展開という流れだった。
しかし、アタックモードのアクティベートゾーンでの判定が厳しく、空振りになるケースが頻発。トップのキャシディ、デニス、ブエミも空振りをし、再びレコードラインを外してアタックモードを使うことになってしまった。そのため、順位にも影響し、ブエミとキャシディという並びになり、チームメイト同士のため、チャンピオンを狙うキャシディにポジションを入れ替えるはずが、なんと15周目ブエミがキャシディのフロントウイングに接触し、キャシディをリタイヤに追い込む失態を犯した。
これでキャシディは前戦のローマで、おなじジャガーPTを使うエバンスと同志打ちをしたことの繰り返しになり、2戦連続でノーポイントレースになってしまった。したがって、チャンピオンシップからの脱落は決定的とも言える瞬間だった。
レースも終盤になると各チームがチャンピオンシップのポイントを計算しながら、順位争いをする展開になった。ジャガーとポルシェのPTを使うチームはチームオーダーでデニスを、またエバンスを勝たせ、さらに相手のポイントが低くなるように、ヴェアラインやバード、そしてチャンピオンシップでは圏外になるダ・コスタやナトーのポジションも利用する展開になる。

そして29周目、日産のサッシャがクラッシュをし、コース修復に時間がかかるため赤旗中断になる。この時の順位は、エバンス、ブエミ、ラスト、ダ・コスタ、デニス、ナトー、バード、ヴァンドーン、ギュンター、モルタラで、マイケル・アンドレッティがポルシェ陣営に、ダ・コスタへのチームオーダーの確認にいくシーンも見られた。
この時点で3位にデニスが入賞すればシリーズチャンピオンが確定する展開だけに、4位のダ・コスタは邪魔な存在。ひとつでも上位に行きたいデニスは5番手という順だった。
レース再開時、エバンスとブエミはアタックモードをそれぞれ2分と6分を残しており、残り周回数から計算するとブエミは1周1分25秒で走行する指示がチームから出される。レースラップより10秒以上遅いラップタイムだ。そうしなければ、アタックモードを使い切るレギュレーションをクリアできず、ペナルティになる可能性があるからだ。

ところが、その指示が混乱を引き起こし、4番手で超スローペース走行していたブエミにナトーが接触し、コースが塞がれて再び赤旗になるトラブルが生じた。
超スローペース走行とはいえ順位は落としたくないブエミは、ラインを譲ることなく走行したため、速いマシンと絡んでしまうという理解し難いアクシデントが起きたのだ。
その後、リスタートされ、最後はエバンス、ダ・コスタ、デニス、ブエミの順でチェッカーを受けるが、チェッカー直前にダ・コスタに3分のタイムペナルティが課せられ、結果、エバンスが通算4勝目を挙げ、2位にデニスが入りシリーズチャンピオンを決定した。3位はブエミという結果だった。

最終戦を待たずに、シーズン9のチャンピオン、そしてGen3マシンの最初のシーズンをアバランチ・アンドレッティ・ポルシェのジェイク・デニスが地元イギリスでチャンピオンを決めたレースだった。


提供・AUTO PROVE
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