謎が謎を呼んでいる南極のピラミッドの正体は? 南極が温暖だった頃の古代文明によって建設されたのだろうか。それとも大自然の神秘のなせる業なのか――。
謎に包まれた南極のピラミッド
南極大陸のエルスワース山脈にあるピラミッド型の形状は少なくとも7年間にわたり、宇宙人や古代文明に関わるあらゆる種類の陰謀論を焚きつけている。
南極大陸にあるピラミッド型の山頂の衛星画像は、2016年に初めてインターネット上に登場したといわれている。エジプトのピラミッドを彷彿とさせるデザインと構造は発見から即座にあらゆる種類のオンライン陰謀論のインスピレーションとなった。

南極が温暖だった頃の古代文明によって建設されたという主張もあれば、宇宙人の仕業だとの見解もある。これほどの大きさのピラミッドが自然に存在する可能性は低いように思えるのだが、地質学者はどう見ているのだろうか。
「これはピラミッドのようなただの山です」と科学系メディア「Live Science」に語るのはカリフォルニア大学アーバイン校の地質学教授、エリック・リグノー氏である。
「ピラミッドの形は不可能ではありません。多くの山頂は部分的にピラミッドのように見えますが、そのような面を持つのは1~2つだけで、4つあることはまれです」(リグノー氏)
リグノー氏はピラミッドは実際には「ピラミッド状の尖った山」として知られる氷河地域に共通する特徴であり、既存の陸地の側面に氷河が集まることによってそのような形になっていると説明する。
一方、ドイツ・ポツダムのドイツ地球科学研究センターの地質学者ミッチ・ダーシー博士は「複雑な形ではないので、特別な偶然でもありません」と説明している。
「定義上、それはヌナタク(nunatak)であり、氷河または氷床の上に突き出ている単なる岩の頂上です。これはピラミッドの形をしていますが、それは人間の建造物ではありません」(ダーシー博士)
ヌナタクとは氷河地域に見られる地形の一種で、氷河または氷床から頂部のみが突き出た山や丘のことである。
科学者の見解としては、この南極のピラミッドはあくまでも自然に形成されたものであるようだ。
