ジャッキアップとは

道路を走行中にタイヤがパンクしてしまうと、急遽スペアタイヤや新品のタイヤへ交換しなければならない場面が発生します。その際に使用する手順の1つが「ジャッキアップ」です。
ジャッキアップは車体を地面から持ち上げる手順で、タイヤ交換以外にも車の下回りに関係したメンテナンス作業をするなら欠かせない方法となります。街なかを走る車には「パンク修理キット」をトランクに常備していて、トラブルが発生したらいつでも対応できるようにしているケースが多いようです。
しかし、パンク修理キットの中に車体を持ち上げる道具である「ジャッキ」が含まれていても、どのように使うのか認識できていない人は多いのではないでしょうか。
今回はジャッキアップの方法を、ジャッキの種類や使用する際の注意点、おすすめの商品と併せて詳しく解説します。
ジャッキは2種類ある!
ジャッキアップで使用するジャッキの種類は2つ存在します。車のタイヤを交換した人でなくても、どこかの場面で道具を見かけた経験があるかもしれません。
- パンタグラフジャッキ
- フロアジャッキ(ガレージジャッキ) この項目では上記で示した2種類のジャッキを、それぞれの特徴を交えて解説します。
パンタグラフジャッキ
1つ目に解説するのが「パンタグラフジャッキ」です。
電車のボディ上部に設置されている“パンタグラフ”をモチーフとした形状が特徴。乗用車のパンク修理キットなどで付属しているケースが多く、タイヤがパンクやバーストしてしまった際の応急処置で使用する場面が多い道具です。
現状存在しているパンタグラフジャッキは「手動式」「電動式」の2つにわかれています。電動式は別途市販されており若干販売価格が高めとなりますが、ジャッキアップに慣れていない人には便利なアイテムとなるでしょう。
フロアジャッキ(ガレージジャッキ)
もう1種類のジャッキは「フロアジャッキ」と呼ばれています。別名で「ガレージジャッキ」という商品名で使用されているようです。
パンタグラフジャッキとは異なり大柄で重い道具となっているのが特徴で、パンタグラフジャッキよりは持ち運びが難しくなっている反面、車体を持ち上げられる許容範囲が大きく、かつ頑丈にできているのが強み。
車に常備するのではなく自宅で保管し、スタッドレスタイヤに交換するなどDIY作業で使用するのに適しています。
ジャッキアップを行う方法

この項目では、ジャッキアップの使い方とポイントを、パンタグラフジャッキとフロアジャッキ、それぞれの違いを交えつつ解説します。
同じく“ジャッキ”と名乗っていても使い方が大きく異なるため、使用用途に併せてジャッキの種類を選ぶ、あるいは両方とも用意するのがおすすめです。
なお、この項目で紹介する手順では、オートマチックトランスミッション(AT)を搭載している車に対してジャッキアップするのを想定して解説しています。マニュアルトランスミッション(MT)車は別途補足して解説するため、参考にしてみてください。
パンタグラフジャッキの使い方
パンタグラフジャッキの使い方は次の6段階の手順にわかれています。
- シフトレバーを「P」に設定しエンジンが停止している(かかっていない)状態とする
※この際パーキングブレーキをかけ忘れないように注意する - 輪止めなどを使用して車が前後に進まないようにする
- ボディの下回りを見渡しジャッキアップポイントをチェックする
- パンタグラフジャッキをあらかじめ地面からジャッキアップポイントの高さになるまで引き上げておく
- パンタグラフジャッキをジャッキアップポイントの真下となるよう地面に設置する
パンタグラフジャッキを引き上げてゆっくり車体を持ち上げる 簡潔に説明すると、下記の3点を守って作業を進める流れです。
車体を動かないようにする
- ジャッキアップポイントをチェックして、正しい位置にパンタグラフジャッキを設置する
- ゆっくりジャッキを引き上げる これらの3点はいずれも欠かせないポイントです。慌てたり正しい方法で進めなかったりすると車体が急に地面へ下がってきて事故につながりかねません。
手動式では手作業で行うこととなり、手違いが発生しやすくなるため、一つひとつの手順を的確にこなしてパンタグラフジャッキを使いましょう。
フロアジャッキの使い方
フロアジャッキの使い方は次の7段階の手順にわかれています。
フロアジャッキを使う以外はパンタグラフジャッキでの手法とほぼ同じ流れですが、「リジットラック」と呼ばれる補助アイテムを使用するのが特徴です。
- トランスミッションレバーを「P」に設定しエンジンが停止している(かかっていない)状態とする
※パーキングブレーキをかけ忘れないように注意する - 輪止めなどを使用して車が前後に進まないようにする
- ボディの下回りを見渡し車体前後にあるジャッキアップポイントをチェックする
- フロアジャッキのレバー部分をあらかじめ地面からジャッキアップポイントの高さになるまで引き上げておく
- フロアジャッキをジャッキアップポイントの真下となるよう地面に設置する
- フロアジャッキを引き上げてゆっくり車体を持ち上げる
車体を持ち上げたら車体の下回り側面にあるジャッキアップポイント近辺にリジットラックを設置する 簡潔に説明すると、下記の4点を守って作業を進める流れです。
車体を動かないようにする
- ジャッキアップポイントをチェックして、正しい位置にフロアジャッキを設置する
- ゆっくりジャッキを引き上げる
- リジットラックを使って車体側面が脱落しないようにする フロアジャッキでも、パンタグラフジャッキと同様の方法で扱うものの、異なるポイントとなるのがリジットラックを使う点。
車体前後合わせて2ヶ所にフロアジャッキを設置して持ち上げればOKですが、車体側面が何も固定されていない状態となり、車体が急に下がってしまう可能性があります。その際に、車体側面のジャッキアップポイントにリジットラックを備えておけば危険性が軽減されるでしょう。