イライラするのは期待値が高すぎるから

人間関係でイライラする理由は、シンプルに相手への期待値が高すぎるからだと思っている。以前の記事でも書いたことがあるが、日本では店員さんに外国人名のネームプレートをつけると利用客からのクレームが激減する。日本人同士だと「察して当たり前」という感覚でも、外国人相手となるとその期待値はゼロに近くなり、仮に自分が思うように察してもらえなくても怒り出す人は減るのだ。

自分は昔、精神的に未熟だった頃はとにかく周囲の人への期待値が高かった。派遣社員時代は周囲は自分よりみんな一回り近く年上の人ばかりだったというのもあり、自分本意な行動も笑って許してくれた。

食事をする時も周囲の年上が多く払ったり、奢ってもらうのが当たり前だった。段々と感謝の感覚はなくなっていき「自分はもてなされて当たり前」という感覚になっていったのだと思う。いざ、自分の思うように相手が動いてくれない時はすぐイライラして「年上なのに先回りしてできないの?」と思うこともあった(大変傲慢だったと今では反省している)。

しかし、環境が変わって現役生より5年間遅れて大学に入ると一気にこの期待値が変化した。それまでは周囲は全員年上で気を回してくれるのが当たり前だったのが、逆に全員周囲が年下に変わって年上の自分に気を回してくれる人など誰もいなくなったのだ。

この体験を経て、「相手はこう動くべき」みたいな感覚は完全に抜けていった。米国大学留学や外資系企業で外国人と一緒に勉強したり仕事をすると、ますます「普通、言わなくてもこのくらいやってくれるでしょ」という期待値もさらにゼロへと近づいていった。

期待値がゼロになるととても気楽に、そしてごきげんに過ごすことができる。期待していない分、相手が思わぬ厚意をくれたならそのまま全てをプラスと捉えることができ、「ありがとう!」と心からいえる。

夫婦間、親友の間柄でも過剰な期待はしない

自分は妻と出会って今年でもう14年になる。これまで本当に色んな事件を乗り越えてきたが、大喧嘩や激しい口論などは本当にたった1度もないし、今後も絶対にないと断言できる。なぜならお互いに相手への過剰な期待はまったくないからである。

お互いビジネスをしているということもあって、独立心は高く、自分のパートはプロフェッショナルとして責任を持って遂行するという感覚を持っている。「普通はこうするでしょ」とか「察して」を相手に押し付けないように明文化されない不文律を有しているためだ。相手に自分の期待を押し付けない、これを鉄の掟にするだけで喧嘩が起きる火種はなくなってしまうのだ。

そして自分には結構長く付き合っている数少ない友人がいる。この友人は正直、かなり適当である。「今度そちらに行く用事があるから、よかったら食事でもどう?」とかなり前から打診をしても返事がない。滞在最終日前日の夜に「まだこっちにいる?都合があえば今からどう?」みたいに連絡が来る。

人によっては「自分の都合のいいように連絡をよこして!」と怒り出すかもしれないが、自分は笑いながら応じるようにしている。この人は元々こんな感じだと分かっているので、「自分がかなり以前から連絡をしているので、それにあわせて事前連絡に応じるべきだ」などとは思わない。自分は自分、人は人。いざ再会すると楽しく話せるからOKなのだ。

信用をしても期待はしない。人間関係はこれを徹底するだけでとても気楽でイライラすることもなくなるのだ。

 

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