植田総裁は、これらの暴力的な言説に対しても、丁寧に真摯に答え続けた。素晴らしい。説明も率直で、かつ非常に丁寧だった。
もしわかりにくかったとすれば、それは日銀の金融政策の現状が難しい局面に立たされているからで、その現状を理解する努力抜きに、ただ批判を叫ぶ記者や批判者は、自分たちこそ、金融政策を破壊し、日本経済を壊していることを自覚するべきだ。もしかしたら、破壊することが目的のテロリストジャーナリズムなのかもしれないが、まあそれなら部分的に成功しているから、そういうことを望んでいる立場の人々からは賞賛されるのかもしれない。
今回の政策修正をまとめると
これまでの最大の問題点、最大の副作用をもたらしていた、0.5%での連続指値オペが実質廃止された。 代わりに、保険としての1.0%の連続指値オペをおいて置いた。最終手段を見せだまとして、使わずにすむようにした。 為替のボラティリティは日本経済、金融市場にマイナスという認識を明示的に表明し、今後の為替の変動に対する牽制をし、これ以上の過度な投機的な円安アタックによる期待値を低下させ(それに対しては何らかの措置をとりうると言う姿勢を見せて、攻撃の成功確率の予想値を下げた)、為替に対する副作用を多少ではあるが軽減した。 これらの措置にもかかわらず、実質的な金融緩和効果は維持した。実質金利の上昇は見込まれず、名目金利も市場による変動が、市場の名目値である程度観察できるようになり、金融市場における期待インフレ上昇リスクが早めに検知されるようになった。
というのがポイントである。
私個人の意見としては、そもそも高いインフレを定着させるという目標自体が180度間違っていると考えているから、この修正では、インフレを止めることができず、また為替もボラティリティは減り、今後の投機的なアタックのリスクは減っても、現状の過度な円安は解消されないから、適切ではない、という判断になる。
しかし現状の日銀のスタンスからすると、そこは考え方自体が異なるから、間違っているとは思うが、修正を望むのは、批判の為の批判という言説ならありうるが、日本経済のための議論のためには、そこまでの修正を望むのは現実的な意味がないので、これが現状ではベストであり、植田日銀の今回の修正には100点満点の評価をしたいし、植田総裁の記者会見には120点を与えたい。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?