植田総裁の就任後の記者会見等での発言には、非常に大きなもどかしさを感じていたが、7月28日の記者会見でそれは一掃。素晴らしい記者会見、そしてハト派としては現実的にはベストの政策修正だった。

記者会見をする植田日銀総裁NHKより

しかし、とにかく修正を迫り続けてきた人々のほとんどは、「こんな修正は意味がない」「中途半端でかえって混乱を招くだけだ」「最悪でこれで日銀は崩壊する」などと攻撃をさらに過激化している。

彼らはどうかしている。

あるいは、ただとにかく日銀総裁という存在に対して攻撃をしたいだけなのだろう。

安倍政権のときにもそうだったが、私もアベノミクスには誰よりも反対だし、一部で評価の高い安倍外交にもほとんど(特に、ロシア、トランプとの友好で世界の分断への方向の流れが確定的になるのを加速したこと)反対だったが、それでも、彼の無邪気な人柄、素朴すぎる思考と子供っぽい感情による無駄な立ち回りの失敗はあるものの、人懐っこさ、根本的な意味での人の良さは高く評価してきた。

アベ政治をゆるさない、というきもちわるいロゴを纏っている人々もいたが、それこそが最悪で、究極の思考停止だ。アベ政治とはなんであるかを説明せずに、政策のどこが悪いのか、それを具体的に批判しなければ、建設的な解決策はない。

黒田日銀も同様で、黒田氏が意固地になっているように見受けられる場面もあったが、一部の新聞記者のただの個人攻撃的な質問ともいえない質疑、彼はそこで怒りが収まらなかったのか、植田総裁にまでくってかかる質問を浴びせ、また、誰かはわからないが、28日の記者会見の最後に騒ぎ続けた出席者、「何も変わらない」「説明しろ」と叫び続けた声、本当に彼らこそ、思考停止で反省するべきだ。