医療データ利活用法制の整備が規制改革実施計画に記載

6月16日に規制改革実施計画の閣議決定がありました。この文書において、「医療等データの利活用法制等の整備」が取り上げられています(p62~)。

規制改革実施計画は、骨太の方針、新しい資本主義実施計画に並ぶ格の高い閣議決定資料です。閣議決定はすべての閣僚が全会一致で意思決定するものですから、この資料に記載されると、政府はその政策の実施責任を負うことになります。このため、実現の可能性がかなり高まることになります。

制度改正のタイムラインとしては「令和5年以降速やかに措置」することが明示されています。「●年までに実施」等といった表現と比べると弱いですが、閣議決定資料に記載された以上、いつまでもやらないというわけにはいかないので、早ければ今年中には何らかの検討が開始されることになります。

特に医療データの二次利用が進めば、ビジネスのフィールドも大きく広がります。医薬品、医療機器の開発が促進されるだけでなく、医療データを収集して利活用するビジネスにも広がりが出てきます。

医療データの利活用が大きく進み、患者が受ける医療の質の向上や医薬品の開発、研究の推進など、医療の進歩につながるものですが、企業にとっても大きなビジネスチャンスを秘めている制度改正です。

ただ、せっかく方針が出ていても、閣議決定資料だけを読んでいても何が決まったことで、何が決まっていないことなのかよくわからない、という人も多いはずです。

この後、閣議決定の中でほぼ間違いなく決まっていることと、これから検討すること、場合によっては民間サイドから意見提起するべきことを区別して解説しますので、ぜひ今後の事業展開に役立てていただければと思います。

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年7月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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