ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで27日、2日間の日程で第2回ロシア・アフリカ首脳会談が開催された。アフリカからは17カ国の首脳が参加した。コンスタンティヌス宮殿で開催された首脳会談の主要議題は、ロシアがウクライナとの間で締結していた穀物協定の離脱を受け、その最大の被害を受けるアフリカ諸国への支援問題だ。プーチン大統領は首脳会談ではウクライナの黒海経由の穀物輸出に代わって、ロシア産の穀物輸出をアフリカ諸国にオファーしている。

エジプトのエルシーシ大統領と会談するプーチン大統領(2023年7月26日、サンクトペテルブルグで、クレムリン公式サイトから)

ロシアがウクライナとの「穀物輸出協定」から離脱して以来、世界の穀物市場は急騰し、小麦価格は既に20%アップした。エジプトなどウクライナ産穀物に依存してきたアフリカ諸国は厳しくなってきている。

サミット会談前の24日に公表されたプーチン大統領のメッセージ「ロシアとアフリカ:平和、進歩、そして成功する未来に向けた取り組みの結合」では、ロシアが穀物協定の延長を破棄した理由が詳細に記述されている。メディアでは余り報じられていないので、少し長いが紹介する。

プーチン氏は、「ロシアは、アフリカ諸国の社会経済的発展と政治的安定にとって、途切れることのない食糧供給の重要性を理解している。ロシアはアフリカ諸国への小麦、大麦、トウモロコシおよびその他の作物の供給に関する問題に常に大きな注意を払ってきた。わが国は契約ベースで、また国連食糧計画(WFP)を通じた人道支援として無償で行ってきた。ロシアは昨年アフリカに1150万トンの穀物を輸出し、今年上半期にはさらに1000万トン近くが輸出された」と述べている。

そのうえで、「『穀物協定』の目的は、世界の食糧安全保障を確保し、飢餓の脅威を軽減し、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの最貧国を助けることであった。これがロシアが穀物協定の義務を負った理由だ。しかし、実際には、ウクライナ産の穀物を転売していた米国と欧州の大企業の富を得るために利用されてきた。ほぼ1年で、合計3280万トンの物資が協定に基づいてウクライナから輸出され、その輸出の70%以上が最終的には高所得国および上位中所得国に行った。エチオピア、スーダン、ソマリア、イエメン、アフガニスタンなどの国々が受け取った供給量は3%未満、つまり100万トン未満だ」と指摘し、「穀物協定」が本来の目的から離れていると批判している。