企業の不祥事を防止するにはどうする?

このような企業の不祥事はどう防止すればいいのだろうか?

方法の1つが第3者機関による監査である。たとえば外部独立組織によりISO認証を受けて品質のチェックを行うとか、会計監査などもその一つだ。企業の決算の正当性を確認するチェック機能をもたせることで、透明性と信頼性の高い株式市場を実現させている。また、最近では食品偽装ができないよう、農作物などの産地情報をブロックチェーンに書き込みトレーサビリティを担保するサービスもあるようだ。

しかし、これをあらゆる業界、商品サービスで行うことは不可能に近い。監査には途方もない手間とコストがかかるためだ。それはまわりまわって消費者の利便性を損なう。現実問題としては、金額の大きい業務や社会的責任が大きい部分でのみ監査は行われ、ゼロにすることは現実的ではないのだ。

消費者が粗悪品を掴まないためには?

それでは消費者側が粗悪品を掴まないためにはどうしたら良いだろうか?

対応策の1つに「高付加価値商品を選ぶ」ということがあげられる。たとえば産地偽装品を掴まされないためには、誰が見てもすぐ分かるような手間ひまかけて生産した国産品にふさわしい外観の大きさや美しさをPRするものを選ぶ。価格は高くても、それに見合うだけの価値を訴求するものを選ぶ。

また、高付加価値商品サービスは一般論としてではあるが、販売者側も高付加価値根拠をしっかり説明するアカウンタビリティを持ち、不祥事に手を染めるインセンティブも持たない。なぜなら仮に不祥事が暴露されたなら長期的な売上は壊滅的打撃を受ける上、そういった商品を求める顧客は目が肥えているので騙し続けることは難しいためだ。「高いけどちゃんといいもの」を誠実に売り続けることが販売者側も得をする構図となるため、消費者側は粗悪品を掴むリスクを低減できるだろう。

「安くていいもの」を求めてはいけない

ビッグモーターの事例など消費者側で見抜くことが難しいものの、一部の粗悪品などの不祥事は見抜くことができたのでは?と思えるものもある。

たとえば国産品、高付加価値を謳う割に、異常な低価格商品がそれにあたる。冷静に考えれば「高品質かつ低価格」は絶対にありえない。販売者側はビジネスでやっているので、赤字を出してでも販売するなどメリットのない行為を続けることはない。ちゃんとしたものを求めるなら、相応の対価を気持ちよく支払うべきなのだ。”一部”の産地偽装の不祥事などでは「頑張って安くていいもの、掘り出し物を見つけよう!」という気持ちに漬け込まれて騙されてしまうのである。

良いものは高く、悪いものは安い。

この当たり前の感覚に持つべきだろう。「安くていいもの」はもう幻想と心得えよ。

 

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