3ヶ月休むとスキルは明確に錆びる

昔、筆者がピアノを習っている時に教師から言われた話がある。

1日休むと教師に分かる。 2日休むと周囲に分かる。 3日休むと自分でも分かる。

と記憶している(記憶がおぼろげで順序を間違っている可能性に留意されたい)。これはつまるところ、ピアノという楽器は技術の劣化が速いために練習をサボるといけませんよということだ。

自分は入会早々にこれを言われて恐怖を覚えたので、サボらず毎日せっせと練習をしていた。ピアノから離れて10年以上が経過して、たまに楽譜を開いて見ることがある。今でも読譜はできるのだが、昔滑らかに弾いていた曲に挑戦すると全然弾けないことに愕然とする。ほとんど未経験者に近いレベルに落ち込んでしまったのだ。「元ピアノ弾き」という肩書きは、知識はあるが演奏技術としてはイコールほぼ未経験者に近い。

これと同じで、人前で話したり文章を書くという技術もサボれた確実に錆びつく。筆者はYouTube動画を出しているのだが、時には大量に撮りためて2ヶ月、3ヶ月先の分まで作っていることがある。視聴者から見れば頻繁に撮影しているような感覚でも、自分にとっては3ヶ月ぶりの撮影になることがある。そして3ヶ月ぶりに撮影をすると、トーク力がものすごく落ちていると感じる。実際、頻繁にリテイクが発生してしまう。

文章を書くのも同じである。1ヶ月もサボれば適切な言葉がとっさに浮かんでこなくなる。言語技術はピアノほどドラスティックではないが、間違いなくサボれば錆びつく。ある程度、長い期間訓練していればブランクがあれば技術の復活は早いが、それでも短期的には間違いなく錆びつくのだ。

社会一般的には「元〇〇」といった肩書きは強い説得力を持つ。しかし、あまりにブランクがあるなら元〇〇は現代ではほとんど通用しない実績になっている可能性を疑ってもいいだろう。

自分自身、米国大学留学経験についてPRするシーンがあるが、事実として留学はしたが2023年現在の米国大学留学事情を問われたならば、過去の知識だけで話しをしてしまうと現状からズレた情報で相手をミスリードさせてしまうリスクがあると思っている。そのため、海外留学における質問を受けたなら、必ず現状の最新情報を確認した上でなければ回答してはいけないと考える。

そのくらいに元〇〇と現役〇〇との間には大きな距離があるものなのだ。

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