毎日新聞が先週報じた「<ルポ路上売春>歌舞伎町で『立ちんぼ』3年 ネットカフェ暮らし、ホスト通いの末に」は衝撃的な記事です。歌舞伎町裏にある大久保公園周辺の立ちんぼ達に焦点を当てたもので底辺の若者の実態がよくわかります。
実は私が6月に東京にいた際、歌舞伎町タワーを見に行ったのです。その前にあるシネシティ広場にはいかにも悪そうなガキ連が広場ど真ん中の路上で寝転び、片や隅の方ではやはり悪そうな男女グループが10数人溜まっています。正直、ヤクザより怖いと思います。なぜならヤクザは仁義がありますが、悪ガキは抑制が効きません。その後、新大久保まで歩いたのですが、その道のりに新大久保公園があります。
私はその実態は聞いていただけなのですが、それは不思議な感覚でした。高校生ぐらい制服女子が1人、2人で立っていたりスマホを見ながら何かを待っている男性たち。あちらこちらにそういう人たちが沢山立っているのです。その前を歩くと高校生らしき女性から私に「遊んでいかない?」とか「ご飯食べに行こうよ」と次々声がかかるのです。うわさに聞いていたあれはこれだったのか、と思わず納得すると同時にこれが日本の実態なのか、とがっかりしたのです。
労働力のミスマッチ、これはこの数年、特に言われてきたことです。中国では大学を出ても仕事がないとされますが、彼らは「大学出て制服着る仕事はしたくない」というプライドがあるとされます。ここでいう制服とは工場勤務という意味です。つまり工員になりたくなきゃ、大学に行け、というストーリーが成り立つなら日本はとっくの昔に大学生の就活のスーツ姿がステータスシンボルだともいえるのです。
しかし、日本は更に上を行っているかもしれません。「スーツ、3年着たけどやってられねぇ」と。大企業の就職3年後の退職率は概ね3割。つまり、25歳にしてスピンアウトするもその後は路頭に迷う人たちも一定割合、いるということです。
企業は使える人だけを厳しく選別し、飴を与えます。しかし、その潜在労働力の供給は細る一方です。一方、引きこもりや親元から離れられない若者も急増し、ごく一部にせよ若者が身を売りながらネットカフェで生活するこの実態のギャップは見て見ぬふりでは済まされない日本の一面でありましょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月25日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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