配膳ロボの未来

メリット、デメリットを論じてきたが個人的にはサービス業のスタッフは配膳ロボに置き換えざるをえないだろうと思っている。

まず人口減少はすぐには止めることができないという絶対的事実がある。直近では毎年、出生者数は過去最低を更新し続けており、現在生まれた子供の絶対数が少ないことが、20年後以降、今以上に大きなインパクトを与える。人口減少は労働力不足に直結するので、あらゆる産業における省力化は不回避事項となる。

労働集約型産業の筆頭であるサービス業で唯一といっていいロボットによる代替プランの回避はこうした事情を鑑みるに現実的には難しいと言わざるを得ない。国力維持のためにも、残された人口でやるべきはより経済的に高付加価値のビジネス、ITや金融やコンテンツ配信などへのシフトであるという推測が可能だ。

そしてサービス業の利用者は意外なほどこの配膳ロボを受け入れているという印象がある。仮に根本的な問題があるなら、人間がサービス提供をする店舗に優位性が生まれるはずだが、今のところは導入が始まったばかりというのもあるが、そのような利用客からのネガティブフィードバックの兆候は見られない(むしろ猫型ロボはかわいいという声をよく見る)。そうなると時間の経過とともに配膳ロボ導入店舗に人件費分の経営コストの優位性が効いて、新たに開店する店舗でも配膳ロボは積極導入されることを社会全体で合理的に受容するだろう。

個人的には配膳ロボの導入拡大は不回避だと思っている。そして次に来るのが「お会計」のロボ化だろう。いや、一部の店舗では、すでに人件費削減のために自席のメニュー用タブレットからクレジットカード決済などができるようになっている。

このトレンドが続けば人間の仕事は調理のごく一部と経営を担う部分のみとなっていく。大局でみれば日本の限られた労働力を代替してくれると見ることもできるかもしれない。逆に言えば高付加価値ビジネスを担うだけのスキルがない人にとっては「自分たちの仕事をロボットに奪われている!」という見方ができるかもしれない。

 

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